ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2698)

 「営業かSE」の世界で/若者はどう生きるべきか

 今は大学文系卒で求人が多くあるのは、営業職とSE(システム・エンジニア)のようです。「では、あなたはどちらを選びますか」と問われても、多くの若者は絶句するしかないだろう。

 もちろん、営業であれ、SEであれ、やりがいのある仕事であることは理解している。しかし、提示される職種がこの2つだけでは、暗澹たる気持ちになるのも無理はない。

 「営業に向かないからSE」なのか。「SEに向かないから営業」なのか。さすがに極端というか、乱暴すぎる。これでは「社会に出たくない若者」が増えて当然だろう。

 SEの世界には、ヒエラルキーが存在しています。残酷なようですが、大学で理数系や情報系を専攻してきたSEと私大文系卒の即席SEでは、最初から逆転不可能なほどに差がついているように思います。

 一般論を言うなら、将来の職業選択を見据えるなら、理系選択が常識です。特に自分の学力にあまり自信がないなら、とりあえず理系に進学する方が有利でしょう。

 僕は高校時代に「理系」でしたが、早稲田大学に行きたかったので、受験機会を増やすため「文転」しました。結果的にこの判断は間違っていなかったと思いますが、他人には勧められません。

 でもたぶん、多くの若者が本当に聞きたいのはこういう話ではないことも理解しています。

 おそらく、今の若者には、自分の全存在を賭けるだけの対象が欠けているのです。生活の中に「確かな実感」がない。

 音楽やスポーツで完全燃焼できる人はむしろ少ないものです。多くの若者は、不完全燃焼の青春のまま、何となく周囲に流されて、この社会のルールに従って、就職して、定年まで働く。それでいいの?

 たぶん、そのことに根本的な疑問を感じているのだと思います。いやむしろ、疑問を感じて当然です。

 自分が何者であるか。一度きりの人生で何を成し遂げたいのか。まだ、それがわからないままに社会に放り出される。理不尽なものです。そして、「生活費を稼ぐ」という制約は意外と重い。

 おそらく、「自分探し」をするのは、若者の特権でしょう。僕自身、いまでもピースボートの世界一周旅行のポスターを見ると、胸に疼くものがあります。「学生時代、借金してでも行っておくべきだったかなぁ」と思います。

 僕自身、何が正解なのかわかりません。

 「就職するのがいいのか、フリーターでもいいのか」の判断すらできないのが正直なところです。金銭面を考えたら正社員になった方がいいでしょうが、起業やウェブで収益を上げることを考えるなら、フリーターの方がいいかもしれません。

 僕自身は、社会人になって、毎日必死に生きてきて、今の生活にはそれなりに満足はしています。それでも、まだ割り切れないものや諦められないものは多い。

 結局は、この種の違和感を抱えながら生きるしかない。仮に救いがあるとすれば、この種の葛藤を抱えているのは、何もあなたに特有のことではない、ということでしょう。

 
 山田宏哉記



 2010.9.25
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