ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2707)

 クローズアップ現代「アメリカ 激化する“反移民”」覚書

 NHKのクローズアップ現代「アメリカ 激化する“反移民”」(9月30日放送)を視聴しました。

 アメリカは言わずと知れた"移民の国"です。そのアメリカで最近、急速に高まっている反移民の気運を報道した番組です。

 番組によると、ヒスパニック系のアメリカ人は約4,000万人。家族に不法移民がいる場合も少なくありません。アメリカの人口を3億1500万人だとすると、人口の15%強に相当します。

 2009年、国外退去処分となった不法移民は、過去最多の30万人になります。

 メキシコと接するアリゾナ州への不法移民の数は年間18万人に上るようです。アリゾナ州の不法移民の数は約50万人。人口の1割を占めます。

 アリゾナでは移民に対する規制が強化され、住民の9割は国境警備隊の強化を望んでいるようです。

 特に焦点になっているのは、"不法移民の子供"です。アメリカ合衆国憲法では、「アメリカで生まれたすべての者はアメリカ合衆国市民である」と定めています。

 反移民派はこの条文を見直し、不法移民の子供には市民権を与えないようにしようとしています。実際に不法移民の子供たちは、既にいじめや嫌がらせを受けているようです。

 移民の多くは白人のやりたがらない低賃金の労働に従事しています。

 不法移民はいまやアメリカ経済に欠かせない存在です。ゴミ収集やレストランの皿洗いや牧場や農場での重労働をアメリカ人はやりたがらない。低賃金での重労働を厭わない不法移民は貴重な存在です。

 日本でも、いまや日本人がやりたがらない低賃金で重労働の仕事は、外国人が担っています。ですので、日本に無関係な問題ではあり得ません。「そんな仕事は移民にやらせておけ」という薄汚れた感情は、どうやら人類共通のようです。

 「衣食住足りて礼節を知る」とはよく言ったものです。いや、「衣"職"住」と言った方がよりリアルです。

 反移民の急先鋒に立つのは、大抵、職を失ったりしたその国の低所得者たちです。「あいつらが安い賃金で働くから、俺たちの仕事がなくなった」というわけです。これも世界共通の構造です。

 彼らに「寛容の精神を」と言っても、おそらく無駄でしょう。経済的な不安を抱えた状態で、冷静に物事を判断するのは難しい。特効薬があるとすれば、"経済成長"くらいではないでしょうか。

 繰り返しますが、アメリカは移民の国です。そのアメリカが追い詰められて移民を排除する。それはアメリカ建国以来のアイデンティティの根本に関わることなのです。
 
 山田宏哉記



 2010.10.3
 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ