ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2739)

 クローズアップ現代「ウィキリークスの衝撃」要約 

 NHKクローズアップ現代「機密告発サイト ウィキリークスの衝撃」(2010年11月4日放送)の要約は以下の通りです。

 2006年に作られたウィキリークスは、各国政府や大手企業の不正を告発する機密情報を次々と公表してきた。

 今、ウィキリークスがターゲットにしているのはアメリカ軍。約1ヶ月前にイラク戦争に関する40万点の機密文書を公開して、イラク戦争で犠牲になった民間人は約66,000人に上ると指摘した。

 「イラク人の通訳を敵と間違いスナイパーが射殺した」「降伏する意志を表明していたイラク人2人をトラックごと破壊した」などの挿話が記載された文書や、地上のカメラマンのカメラを武器と勘違いしてヘリコプターから銃撃し、市民13人を殺害する事件の映像なども公表した。

 アメリカ政府はウィキリークスに対して「国家の敵」「個人情報を流出させ、兵士たちの命を危うくするものだ」と非難を繰り返している。

 クリントン国務長官曰く「国家の安全保障及び軍関係者にとって大きな脅威だ。強く抗議する」。

 ゲーツ国防長官曰く「彼らのやっていることはモラルに反し、犯罪行為に他ならない」。

 元諜報部員曰く「国家の安全保障にとって大きな脅威だ。やつらを止めて情報の流出を防がねばならない」。

 このような非難を浴びるウィキリークスとはどのような組織なのか。

 ウィキリークスを率いるのはジュリアン・アサンジ氏。オーストラリア出身で、10代の頃は天才ハッカーとして知られていた。20年前、NASAのコンピュータに侵入し、システムが一時停止させた。こうして、各国政府が明らかにしていない情報がたくさんあることを学んだ。

 このような経験を元に作ったウィキリークスのシステムは以下のような仕組みとした。

 まず、内部告発者はウィキリークスのウェブサイトに機密文書を投稿する。この内容は暗号化され、協力者のPCを経て、スウェーデンのサーバに送られる。

 発信元の情報は消され、告発者の身元はわからないようになっている。

 さらに機密文書がウェブサイトやメディアで公表されるまでの仕組みとしては、まずサーバからハッカーに送られ暗号解読。その後、大手メディアのジャーナリストたちが裏付け取材をする。

 こうして本物と確認できれば、ウィキリークスのウェブサイトに機密資料が掲載され、協力者のいる大手メディアでも報道されることになる。

 ウィキリークスには、ハッカー、ジャーナリスト、暗号の専門家など世界で1200人が協力していると言われ、寄付金で運営されている。

 また、ウィキリークスのサーバはストックホルムの地下室にあり、何重ものロックで守られている。冷戦時代は核シェルターとして使われていたので、セキュリティは万全とのことだ。

 2010年5月には、ウィキリークスに内部情報を渡した疑いでブラットリー・マニング上等兵が逮捕されている。

 マニング氏はイラク駐留アメリカ軍の情報分析官で、ハッカーの仲間に「機密情報を入手するのは簡単だった。全てをウィキリークスに渡した。これをきっかけに世界中で議論が巻き起こり、世の中が良くなって欲しい」とメールで打ち明けていた。

 一方、打ち明けられて、マニング氏を軍に通報したエイドリアン・ラモ氏は「ウィキリークスがやっていることは間違っていると思いました。名前を公にされた兵士や協力者は敵に殺されるかもしれません。これは人命に関わる問題です。情報を何でも曝け出すのは正義ではありません」と述べている。

 尚、番組ではジュリアン・アサンジ氏と接触し、インタビューすることに成功している。その発言の要旨は以下のようなものだ。

「アメリカ軍がやっていることは戦争犯罪です。だからこそ我々は機密文書を掲載することに力を入れています」。

「すべては威圧的な力を振りかざす巨大な国家権力に対抗するためです。この世の中には国家権力の恐怖を前に何もすることができない人たちがたくさんいる。そういう人たちを結び付けるのです」。

「国家権力は都合の悪い事実が公表されると、言いがかりをつけて私たちを陥れようとします。私たちが機密文書を公開したことで、傷ついたり、殺された人がひとりでもいますか。もしいたなら米政府はとっくの昔に公表していますよ」

「私たちの目標は国家権力の不正を正し、よりよい社会を作ることです。そのために隠ぺいされた情報をすべて包み隠さず明るみにして、人々に伝えたいのです」。

「多くの人たちが国家に騙されていると考えています。だからこそ、真実を知りたいのです。情報に飢えている人たちが私たちの活動を支援しています。こうした支援がある限り、ウィキリークスを止めることはできません」。

 また、上記のような姿勢で注目を集めるウィキリークスに対して、米ジャーナリズム専門誌副代表レム・ライダー氏は、「私たちが戦争がどのようなものかを知る上で、非常に価値あるものです。忘れてはならないのは、ウィキリークスは明確な政治的意図を持った人物が動かしているということです」などと述べている。


山田宏哉記

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 2010.11.4 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ