ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2765)

特報首都圏「内定率過去最低 いま何が必要なのか?」覚書

 
NHK特報首都圏「内定率過去最低 いま何が必要なのか?」(2010年11月19日放送)を視聴しました。以下、その覚書です。)

 10月1日現在の大学4年生の就職内定率は57.6%で過去最低。その一方で大学生の求人倍率は1.28倍。数字としては足りている。但し、従業員5,000人以上の企業となると、有効求人倍率は0.47倍。

 「できるだけ安定した企業に就職したい」という学生の「大手志向」と企業側の「厳選採用」がミスマッチを起こしている。

 埼玉県上尾市にある聖学院大学。1学年600人。学生の半数がまだ内定が出ていない。

 人文学部4年の深川さん。毎週のようにキャリアサポート課を訪ねている。アルバイトでの体験から、接客や販売に関わる仕事を希望。

 家電量販店で週に3日働いている。曰く「(買ってもらうまでの)プロセスやトークを考えるのが楽しい。(客の)満足している顔や表情を見るのがいちばん楽しい。」

「時期的にもつらいものがあるので、できるだけ希望をかなえられる職場を探して受けていきたい」

 人文学部4年の北垣友恵さん。毎週、キャリアセンターに相談。自分が好きなブランドを扱うアパレル企業、外国に行くチャンスのある旅行会社、動物好きを活かせるペットフードメーカー、などを検討はするものの積極的な就職活動には踏み切れていなかった。

 曰く「自分に合っている仕事がどれなのか、どこに入ったら後悔しないで自分を発揮できるか、まだどれないのかわからない」

 聖学院大学には毎日2〜3件、新たに求人が届いている。キャリアサポート課では、少しでも興味があれば応募するように勧めている。

 キャリアサポート課課長の鈴木隆氏曰く「学校の外に出てフリーターになると、それだけ(就職の)チャンスが狭まってしまう。それは社会的な損失。フリーターやアルバイトは何年も続けているものではない」

 聖学院大学では求人募集している企業を招いて、毎週、説明会を開いている。

 溶接施工会社社長の青田利一さんは、こうした説明会を積極的に開いているが学生は関心を示さない。曰く「私は会社の社員の資質が低いとは思っていないが、世間から見たら資本金、社員数、社歴が本当に小さなものですから」

 青田社長の会社の技術部で働く町田さん。大学院で半導体の研究をしていた。就職活動では大手企業を中心に回り、青田さんに誘われるまでは溶接の仕事を考えてもいなかった。溶接の面白さや奥深さを日々学んでいる。

 町田さん曰く「世間に知られている会社がいい会社と思って、そういう会社しか受けなかった。(溶接を)やってみたら意外と面白くて非常に今、楽しいです。」

 青田社長は経済状況が厳しくなればなるほど、いい人材を確保することが会社の命運を握ると考えている。たとえ求人への応募が少なくても「採用の基準は下げない」と決めている。

 青田社長曰く「(就職試験に)落ちている学生でいいものを持っている人はいる。そういう人を探し出す、というのがこれからです」

 現在、福祉サービス会社総務部で働く朝比奈さん。この春に入社した。大学卒業寸前まで内定を得られなかった。

 朝比奈曰く「理想的な環境に身を置くことができて明るくて楽しく(日々を)送れている。結果的にはオーライだった。」

 朝比奈さんは女子大で現代史を先行し、ガソリンスタンドでアルバイトをしていて、危険物取扱者の資格などを取得。但し、ガソリンスタンドに就職しても続けたいとは思わなかった。

 朝比奈さん曰く「シフトで足りないと社員の人が入る。定時が終わっても、自分の仕事を残ってやっているのを毎日見ていた。社会人ってこんなにやつれながらつらいものなんだなぁって。」

 朝比奈さんは、就職活動では業種にこだわらず、事務の仕事を希望。20社ほど受けたが内定は出なかった。

 朝比奈さんが追い込まれて作ったのが"自分史"。生まれてから、小学校、中学校、高校、大学で何をやってきたのか、書きだした。書きだして気付いたのが、高校時代、社会福祉部だったことだった。

 朝比奈さん曰く「自分史を作ってみて、そのとき『介護』があった。全く考えてなかったが、最後のときにそういえば『介護』も好きだったなと」。頭を切り替えて介護関連の情報を探し、卒業式の直前に内定を得た。

 自分に何ができるのか考えて行動したことが奏功した。

 朝比奈さんを採用した福祉サービス会社施設長の寺師淳二さん。曰く「3月に面接してやっぱり(朝比奈さんは)苦労しているので、何社か受けて色んなことを学んだと思う。『どうしても就職したい』という気持ちが前面に出ていた。」

 朝比奈さん曰く「(就職活動で落ち続けて)忍耐強くなった。最初は落ち込んで落ち込んでどうしてもなかった。でもやっていくうちに頑張るしかないんだ、頑張るしかないんだって。就職活動って、人生の転換期ではないですけど、色々吸収できるとき、生まれ変われるときだと思いますね、はい。」

 番組にゲストで呼ばれたのは立教大学準教授の小島貴子さん。曰く「景気の低迷で、学生側も企業側も焦りを感じている。学生は安定志向で『自分に向いている』ということで早く内定を望む。学生は『従業員数が多い企業が安定している』と考えている。学生には失敗経験が少ない。」

 「朝比奈さんは素晴らしいケースでしたが、普通は難しい。就職活動は点数化されないので、自分でどこが悪かったのかわからない。自分を否定されているような気持ちになって、次に向かえない場合が多い。朝比奈さんの場合は、就職の対策だけをやるのではなく、自分の過去を振り返ってたことが大きなポイントだったと思う。」

 山田宏哉記

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 2010.11.20 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ