ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2771)

 【"私のメディア"論】著作権確保の戦略

 「利権」と「権利」の違いを説明しましょう。

 利権とは「他人の権利」を差す言葉であり、権利とは「自分の利権」を差す言葉です。

 さて本日、ウェブサイトに書いていた記事が思わぬ形で役に立ちました。あるテーマでレポートを書くことになったのですが、ちょうど自分のウェブサイトに記事として書いたことと重なっていました。

 というわけで、自分のウェブサイトの記事をコピー&ペーストして、加筆修正を施してレポートを仕上げることができました。自分が書いたものなので、当然、著作権上の問題もありません。

 これ自体は、小さな出来事です。しかし、自分のウェブサイトで情報を一元管理してデータベースや参考記事として使うことができるようになれば、仕事の進め方を大きく変えることができると思います。

 実は、これには著作権上、重要な意味があります。

 職場で勤務時間中に書いた文章等は、"職務著作"に該当するので、著作権は勤務先の企業のものになります。

 しかし、勤務時間外に自分のウェブサイトが書いた記事の著作権は、当然ながら、"私"に帰属します。その記事をコピペして編集して、勤務先の企業で使用しても、ウェブサイトの記事の著作権は"私"のままです。

 自分のメディアを持っていると、大元の記事の著作権を"私"に設定したままで、それを各所に展開していくことができます。

 対照的に、職場で勤務時間中に書いた場合、職場で勤務時間中に一生懸命何かを書いてもそれは"職務著作"にあたります。"私"が著作権を持たないので、職場以外では自由に使用することもできません。

 著作権が「私」のものを改変して職務著作にすることはできますが、職務著作のものの著作権を「私」にすることは原則できません。

 だったらなるべく、自分のウェブサイトに著作権が"私"の記事を書きためて置いた方が、著作権の戦略上も有利ではないでしょうか。

 何かあった時、権利が「私」にあるか、「会社」にあるかでは、大違いです。青色ダイオードの特許訴訟を思い出して下さい。あれは"職務発明"であったために、中村修二さん個人は大した金額を受け取れませんでした。

 権利とは、利権の裏返しです。

 悪い冗談を言えば、中村さんは、勤務時間外に自宅で青色ダイオードを開発して、特許登録してしまえばよかったのです。

 テキストベースの原稿に関しても、全く同じことが言えます。

 「素晴らしい考えを思い付いた」と思ったら、特に差し障りがない限り、まずは"自分のメディア"に書いて公表するのが得策です。そうすれば、その記事の著作権は"私"になります。

 改めて職場でレポートを書いて報告するのは、その後で良いしょう。"私のメディア"を持つ者にとっては、これが合理的な選択だと思います。

 山田宏哉記

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 2010.11.22 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ