ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2774)

 マルチパーパスの行動

 なぜ、働くのか。「生活費を稼ぐため」という回答は間違ってはいません。

 但し、単に「生活費を得る」という目的のためだけに働く人と、加えて「実務経験を積むことで腕を磨く」とか「いつか独立するためのノウハウを学ぶ」という人では、同じ経験からでも、得られるものが大きく違ってくるでしょう。

 これはもっと小さな日常の局面でも、重要になってくきます。

 日本語には「一石二鳥」という言葉があります。僕は、複数の目的を付加された行動を"マルチパーパス(多目的)の行動"と呼ぶことにします。

 例えば「貯金を引き出すために、郵便局に行く」。これだとシングルパーパスです。

 但し、上記のアクションには「健康のために散歩をする」「歩きながら音楽を聴く」「街並みを観察する」「郵便局の人と話して情報収集する」「写真を撮る」「記事のネタにする」など、様々な目的を追加できる。

 仮に、郵便局が閉まっていたとしましょう。シングルパーパスで行動している人にとっては、郵便局までの徒歩が無駄な行動になります。しかし、マルチパーパスで行動している人にとっては、仮に郵便局が閉まっていたとしても、他の目的を果たすことができます。

 つまり、1つのアクションに意図的に複数の意味や目的を持たせことで、リターンを最大化し、行動が無駄になる確率を減らすことが可能なのです。

 例えば、講演会に行くとします。通常は、話の中身を聴くこと(だけ)が目的です。

 とはいえ「講演者のプレゼンテーション・ノウハウや講演会開催のノウハウを吸収する」とか「他の客の様子や反応を観察する」とか「会場周辺の土地を散策する」とか「講演をメモして、記事の素材として使う」など色々な目的を追加することもできます。

 講演会の講師が話す内容が本に書いてある内容と同じだった場合、シングルパーパス「本に書いてある話しかなかった」と失望するでしょう。

 しかし、マルチパーパスで行動していれば、「本に書いてある内容でプレゼンする方法がわかった」とか「あの著者の読者はこんな人たちだったのか」とか有益な知見が得られるものです。

 有限な時間の中で、より多くのことを成し遂げていくためには、行動のマルチパーパス化が欠かせないと、僕は考えています。

 似たような言葉にマルチタスクがありますが、これとは違います。マルチタスクは複数のことを同時にすることで「作業効率」を上げるという話です。

 行動のマルチパーパス化はひとつの行動に複数の目的を付加することで、よりドラスティックに生活を変えていくことが可能です。必然的に、他人からも「行動の動機」が読まれにくくなる。

 僕が、ウェブサイトに記事を書いたり、ツイッターを利用しているのには、色々な理由があります。むしろ、多くの時間と労力を投入する活動には、色々な目的がなければならないのです。

 以上のことからわかるように、「◯◯のために、◯◯をする」というように、目的と行動が「1対1」で対応するのは実はあまり望ましくありません。行動と目的は「1対N」で対応させた方が断然いいのです。

 山田宏哉記

Tweet

 2010.11.23 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ