ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2786)

 サーバントリーダーの条件

 池田守男,金井壽宏(著)『サーバントリーダーシップ入門』(かんき出版)を読了しました。

 資生堂で社長を務めた池田氏が自らの経験を語り、金井氏がそれを理論的に裏付ける、という構図になっています。

 本書のサブタイトルは「引っ張るリーダーから支えるリーダーへ」です。帯書きには「『オレについてこい!』だけがリーダーシップではない」とあります。

 サーバントが「奉仕者」であることを考慮すれば、おおよその概念はこれで掴めると思います。

 本書の表現を借りて、サーバントリーダーの条件を一言で言えば「ミッションの名の下にフォロワーに奉仕する」となります。

 サーバントリーダーシップにおいては、「フォロワーがリーダーに奉仕する」のではなく、「リーダーがフォロワーに奉仕する」点がポイントです。

 何も「部下をコキ使って業績を上げ、昇進するぞ」という考えが悪いわけではありまんが、このようなマネジャーはサーバントリーダーではありません。

 サーバントリーダー型の上司であれば、やはり「部下の成長に責任を持つ」「部下が仕事の目標を達成できるようにサポートする」といった点に主眼を置くのが王道でしょう。
 全くの偶然ですが、本書を読んだ次の日の英会話の教室で"サーバントリーダー"が話題になりました。
 
 さて、本書を読んでいてつくづく気付かされるのは、リーダーとは「フォロワーから認められ、結果としてなるもの」であるということです。だから、組織における職位とは必ずしも相関しない。

 つまり、マネジャーのポジションについていてもリーダーシップがない人はいるし、若手であってもリーダーシップを発揮する人はいます。

 本書でも警鐘が鳴らされていますが、マネジャーにとっての落とし穴は、やはり"権限よる業務命令"で部下が動いているだけなのに、「自分にはリーダーシップがある」と勘違いしがちな点にあるでしょう。 

 いざという時、果たして上司は「部下に責任を転嫁する」か、「部下をかばって責任を取る」か。おそらく、部下は口に出して言わないだけで、正確に見抜いています。

 私見では、部下が自発的かつ意欲的に働くのは、上司が後者のタイプである場合に限られるように思います。

 自らが責任を部下に転嫁するタイプでありながら「どうすれば部下がモチベーションを上げるか」という発想しかできない人の下では、誰も働きたくないでしょう。「仕方なく業務命令には従うが、それ以上のことはしない」という人が大半だと思います。
 
 また、若手にとっての落とし穴もあります。「リーダーシップなんて、まだまだ下っ端の自分には関係ない話」だと思ってしまう点です。そうではありません。

 例えば、プロフェッショナルとしての仕事をする以上、相手が誰であれ、言うべきことは言わなければなりません。問題があるにもかかわらず「あの人が言っていることだから…」などと言ってうやむやに処理するのは、許されないことです。

 まだ新人であれ、本気で仕事をしていれば「顧客のためには、何としてでもこの提案を通さなければならない」とか「上司を説得して動かさなければならない」という場面は、必ず出てくるでしょう。

 そんなとき、必要になるのもやはり"リーダーシップ"なのだと僕は思います。

 その一方で、リーダーとかリーダーシップという言葉には、ちょっとした危うさがあります。自分で「リーダーになるぞ!」とか「リーダーシップを発揮するぞ!」などと思っていては、いい仕事ができないであろう点です。

 ですので本書は、新入社員から経営者まで、すべてのビジネスパーソンに当てはまる内容になっています。

 山田宏哉記



 2010.11.30 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ