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 サイバー・ラボ・ノート (2794)

 渡邉正裕(著)『35歳までに読むキャリアの教科書』覚書

 渡邉正裕(著)『35歳までに読むキャリアの教科書』(ちくま新書)を読了しました。良書です。就職活動中の学生や若手ビジネスパーソンは読んで損はありません。

 僕も、我が身を振り返って反省する点が多々ありました。

 「強みに集中する」ことの大切さはよく言われますが、本書の特徴はタイムリミットを設けていることです。

 「年齢と共にポテンシャル(潜在能力)が下がる」ことを考えると、20代のうちに希望の職種につき、35歳までに希望のポジションにつくことが理想的です。

 少し考えればわかるように、これは相当にハードルが高い要求です。のんびりしている余裕は全くありません。

 ピーター・ドラッカーも指摘しているように、最初の就職は「くじ引き」のようなものです。ここまでは仕方がない。

 しかし、仮に「外れクジ」を引いてしまったとわかったら、一刻も早く手を打たなければならない。ここで「塩漬け」にされてしまうと、キャリアの修正が難しくなります。

 ひとつ確実に言えるのは、もはや「会社に頼る時代ではなくなった」ということです。

 僕自身は「与えられた仕事に辛抱して打ち込ことが大切だ。そこから、仕事のやりがいや人間的な成長が生まれる」といった下積論が嫌いではありません。

 しかし、本書はこのような立場を取りません。「そんなことをしていたら、マーケット・バリュー(市場価値)を失って、手遅れになる」という立場です。

 僕も、単純に「カネを稼ぐ」という文脈に限定するなら、ここはドライに考えた方が得策だと思います。苦手なことを嫌々やっていても、市場価値の高いスキルを身につけることはできないでしょう。

 例えば、SE、営業、マーケティングでは、おそらく必要とされる資質が全く異なると思います。自分に合っていない職種で勝負するのはつらいものです。

 「短所で勝負する」という愚を犯してはならない。「短所の克服」は、コストパフォーマンスが悪い。余暇に人間修業としてすればいいのであって、ビジネスの現場に持ち込むべきではありません。

 常にスキルを磨き、徹底的に勉強し、貪欲に職務経験を吸収していく。そういう姿勢が万人に求められるようになりました。

 時間は限られている。残された時間は多くない。まずはこのような危機感を持つことが必要なのではないかと思います。

 本書を読んで、そんなことを考えさせられました。

 山田宏哉記

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 2010.12.6 記事一覧へ戻る 文筆劇場・ト