ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2806)

 "良質のアイディア"が出る環境

 非定型的な仕事をするにあたっては、"アイディア"が決め手になることが少なくありません。アイディア次第で、煮詰まった局面を打開したり、仕事のパフォーマンスを上げることも可能です。

 「記事のネタ」などについては、"アイディアがすべて"と言ってもいいくらいです。

 さて、アイディアを出すための手法として、よく「マインドマップ」や「ブレーンストーミング」が言われます。一定の効果はあるのでしょうが、直感的に僕には合わないと感じます。

 これでは「やってます」という体裁を整えることはできるが(得てしてこれが重要なのだが)、本当に刺さるアイディアは出てこないと思います。

 経験的に言えば、良いアイディアが思い浮かぶのは、睡眠中や入浴中、あるいは自転車を漕いでいる最中などです。喫茶店やファミレスにいる時も使えるアイディアが浮かびやすい。

 逆に職場のデスクの前では、どうもいいアイディアが浮かびにくいような気がします。

 故・池田晶子氏は、思索のためにジョギングをしていたそうです。これは理に叶っていて、運動をすると脳に血流が行きます。煮詰まった時は、マインドマップよりも、散歩や運動をした方がずっと有効だと思います。

 ですので、皮肉なことに、仕事で使えるアイディアが思い浮かぶのは、勤務時間外であることが多い。「勤務時間外は仕事のことを考えない」と言う人は、もうそれだけで負けています

 基本的に「考える」ことが仕事の人は、勤務時間という概念とフィットしません。"マインドマップ"や"ブレーンストーミング"は、あくまで勤務時間中しか仕事のことを考えたくない人向けのツールなのではないでしょうか。

 もちろん、良いアイディアを思い付いたら、他の人に話してみることが大切です。そのアイディアに弱点や落とし穴がないかを「検証」する際には、他者が介在した方が良いものです。

 良いアイディアは、「出す」ものではなく、「浮かぶ」ものでしょう。努力して出せるものでもありません。むしろ、死ぬ気で努力なんぞしていたら、良質のアイディアが浮かばず、成果が出ないのではないでしょうか。

 ですので、良いアイディアを出すための基本は「キチンと睡眠時間を確保すること」だと思います。

 睡眠不足を自慢するのはサラリーマンの発想であって、プロフェッショナルの姿勢ではありません。睡眠不足でも、手足を動かして働いているように見せることはできますが、本当に価値あるアイディアを生みだすことは難しい。

 「徹夜で頑張った」の類の話は、所詮、結果が出せなかった人の言い訳である場合が多い。忙しそうに見える人が価値ある仕事をしているわけではありません。これは重要な点です。

 キチンと睡眠時間を確保した上で、自分なりに良質のアイディアが浮かぶ環境を整える。本当に価値ある仕事をするためには、これが重要ではないでしょうか。

 山田宏哉記



 2010.12.15 記事一覧へ戻る 文筆劇場・ト