ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2811)

 「将来の夢は公務員」の何がいけないのか

 「ビジネスメディア誠」に「大学受験よりも不安なことは?イマドキの高校生」という記事で高校生の「将来なりたい職業」に関するアンケート結果が掲載されていました。

 [引用開始]

 将来なりたい職業を聞いたところ「公務員」(20%)と答えた人が最も多く、次いで「大企業の正社員」(19%)、「介護士・保育士・看護師」(11%)という結果に。安定した収入が得られる職業につきたいという意見が多かったことについて「義務教育のころからキャリア教育を受けてきた今の高校生は、早くから『社会や景気のこと』や『自分に合った適職』を意識しているのかもしれない」(電通総研)

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1012/15/news093.html
 [引用終了]


 結論から言うと、非常に落胆させられる結果です。

 「将来なりたい職業」という聞き方自体にも問題はありますすが、それを差し引いても酷い結果です。

 では、「将来の夢は公務員」の何がいけないか。民間企業のように利益を追求せず、世の中のために奉仕するのはむしろ素晴らしいことではないのか。

 実のところ、「公務を通して世の中に貢献する」ことと「公務員になる」ことでは、全く意味が違います。前者は志の話であるが、後者は単なる保身の話です。

 「将来の夢は公務員」と言う場合、大抵、「ポジションを獲得すること」を最優先で考えています。この点がいけない。

 そのため、今の日本で公務員を目指す人の多くは、「公務員」という名前に反して、皮肉にも自分のことしか考えないエゴイスティックな人たちです。特に地方では、公務員の特権階級ぶりが酷いことになっています。

 中国人が「共産党員になりたい」と言うのと、日本人が「公務員になりたい」と言うのは、意味が同じです。

 今まで生きてきてようやく気付いたのは、仕事そのものよりも、地位や名誉を追い求める人間が少なくないということです。そしてその種の人間には、ロクな人がいないということです。

 そういう人は世間体と虚栄心で生きているので、「いい仕事をする」という情熱が薄いものです。

 もっともこれは「ミュージシャンになりたい」「社長になりたい」「学者になりたい」などとのたまう人たちにも当てはまります。これは単なる世間体の話ではないでしょうか。

 仕事はあくまで「何をするのか」が問題です。その原点が忘れられているのではないでしょうか。

 そしておそらく、僕たち大人が若い人たちに向けて「仕事をするということ」を背中で示していく必要があるのでしょう。

 (以上、1000字)

 山田宏哉記

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 2010.12.17 記事一覧へ戻る 文筆劇場・ト