ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2829)

 職業選択についての個人的助言

 今の文系大学生にとって厳しいのは、実質的に"職種選択の自由"がないことのようです。求人が多くあるのは基本的に接客か営業職。少し頭がよければなんちゃってSE。いずれにしても、選択肢は少ない。

 細かく言えば、文系学生は法律系、経済・経営系、文化系の3つのタイプに大きく分かれます。法律系と経済・経営系の学生は、比較的、就職で有利です。特にまずいのは「文化系」の学生たちです。

 僕がまず学生方に伝えたいのは「"コミュニケーション能力"に騙されるな」ということです。

 企業でホワイトカラーのビジネスパーソンとして働くなら、基本的に成果は「情報」でると心得るべきです。そして、そのことをよく考える必要があります。

 ですので、私見では「サークルで幹事長をしてリーダーシップを身につけました」というタイプの学生より、「授業の予習復習をして、授業中は発言するようにしていました。疑問点があった場合はオフィスアワーの時間に先生に質問に行っていました」というタイプの学生の方が、遥かに有望だと思います。

 企業は「仲良し集団」ではありません。コミュニケーション能力は、あくまで仕事を円滑に進めるための手段です。

 もちろん、ダイレクトにコミュニケーション能力が求められる職種も存在します。

 接客や介護という職種は、(今のところ)どうしても「生身の人間」が必要になります。ですので、接客や介護をするのに最も必要な能力が「コミュニケーション能力」だというのも理解できます。そして、経済的には不遇です。

 穿った見方をすれば、「コミュニケーション能力の高い人材を求めています」というのは、要するに「安い労働力を求めています」ということになります。

 学歴差別をする意図はありませんが、やはり大学を卒業したなら、基本的にはその教育内容を活かせる職種につきたいものです。具体的に言えば「『日経新聞』の記事を業務に活かすことができる」職種につきたい。

 個人的には、コミュニケーション能力にあまり自信がないなら、大企業の営業職より、中堅企業のスタッフ部門の方が狙い目だと思います。

 もっとも、日本社会では会社の看板がモノを言うので、前者の方が世間体が良いと思うが、実際に働くうえで快適なのは、おそらく後者でしょう。これこそ「花より団子」の教えに従うべき局面です。

 また、総合職一括採用ではなく、予め職種別の採用をしている企業の方が、自分の適性に合った職種につける確率が上がると思います。

 もうひとつ敷衍するなら、学生が就職活動をする際は、企業分析が不充分なように思います。多くの学生が優良なBtoB企業の存在に気付かず、疑問符の付く有名BtoC企業を志望しています。

 例えば、「日経ビジネス」では「隠れた世界企業」という連載をやっているので、高校生以上であれば目を通しておきたいものです。

 さて、僕にもわからないのが、果たして今後、「普通の日本人」はどのように生活の糧を稼ぐべきかという話です。

 間違いなく言えるのは、単に「日本人に生まれた」というだけで豊かな生活が約束された時代は終わったということです。

 僕はよく「単純労働者の平均年収は世界的に年収2万ドルに収斂する」という話をします。時給10ドル×1日8時間×1ヶ月あたり20日×12ヶ月=19,200ドルという具合です。

 そして、人生の早い段階で、将来、知的プロフェッショナルとして年収10万ドル以上稼ぐのか、単純労働者として年収2万ドルの生活を選ぶのか、その選択を迫られることになるでしょう。

 あなたにその覚悟があるのか。少し話が大きくなりましたが、これから職業選択をする学生の方々には、そんなことも考えていただきたいと思っています。

 以上、あくまで私の独断と偏見に基づく個人的見解ですので、あしからずご了承ください。
 
 (以上、1500字)

 山田宏哉記

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 2010.12.29 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ