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 ETV特集「大阪“非常事態”宣言」覚書

 ETV特集「大阪“非常事態”宣言〜生活保護・受給者激増の波紋」(12月26日放送)を視聴しました。その覚書は以下の通りです。

 大阪市は生活保護の受給者が日本一多い。146,000人。市民の20人に1人の割合。

 生活保護費は月200億円を超え、市の財政を圧迫している。年間では2863億円が生活保護に消えている。これは市税収入の約半分にあたる

 2年前、大阪で急激に生活保護が増え始めた。ケースワーカー1人が100人を担当するため、受給者の生活の実態をつかむことすら容易ではない。

 浪速区では10人に1人。西成区では5人に1人が生活保護受給者。この辺りには入居者が生活保護受給者で占められているマンションもある。家賃は¥42,000。公費で支払われる上限額に設定。

 ある受給者曰く「ホンマはまだ若いんだから働かないといかんということはわかっとるんやけど、身体の方がなかなかついていかんで、しゃあないなぁ」

 また、生活保護激増の背景には、"不適切な需給"もある。

 千葉県でホームレスをしていた男性は、路上で寝ていたところ、関西弁の男に「大阪に行かないか」と誘われたという。曰く「いま大阪に行けば生活保護も受けられるし、けっこう楽しく暮らしていけるからと」。

 誘いに応じたこの男性はワゴン車に乗せられた。他にも5人のホームレスがいた。大阪の古い木造アパートに連れていかれ、そこに現れた不動者業者の男性に、生活保護を申請し、アパートに住むよう指示された。

 家賃は生活保護に認められる上限の¥42,000。敷金や礼金、布団代なども公費から支給されるようになっている。

 西成区のあいりん地区では、ドヤ(簡易宿)が生活保護受給者向けのマンションに鞍替えする動きが進んでいる。

【写真】2010年7月、大阪の釜ヶ崎(西成区あいりん地区)に行った際に撮影。申し合わせたように¥42,000だった。




 医療費も全額補助されるため、生活保護受給者を過剰医療で"薬漬け"にする病院もある。市の調査では、そういう医療機関は34ある。

 このように貧困ビジネスが跋扈し、市の財政を食い物にしている。

 生活保護制度ができたのは1950年のことだ。敗戦の傷跡が深く残り、その日の食事にも事欠く人が溢れていた。憲法25条にいう生存権を現実のものにするために制定された。

 昭和30年代、高度経済成長が始まると、生活保護の受給者は減っていった。この時期大阪には全国から労働者が集まり、人口が膨れ上がっていった。

 制度が始まった当時、200万人を越えていた受給者は1995年、88万2229人にまで減少。しかし、その後の不況により増加に転換し、直近のデータでは、176万人が受給している。

 大阪の失業率は7.7%。大都市の中では飛びぬけて高い。住民の高齢化も進んでいる。

 あいりん地区も不況の直撃を受けていた。仕事の量は減り、日本経済を底辺で支えてきた人たちは追い詰められている。生活の術を失い、ホームレスに転落。生活保護に最後の希望を託す人が増えている。

 この半年、大阪市が支援して就職した生活保護受給者は1193人。そのうち生活保護から抜け出したのは28人。そしてその間、新たに生活保護を申請した人は1万人を超える。
 
 (以上、1400字)

 山田宏哉記

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 2010.12.29 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ