ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2953)

 自分を変えるための身体論

 20歳の頃、「自分を変えたい」と切実に思っていました。もっと頭の回転を速くしたかったし、才能が欲しかったし、強くなりたかった。

 そのためには、読書だけでは明らかに役不足でした。

 読書をすると知識の量は増えますが、基礎的な能力そのものはそれほど高まりません。外見や喋り方、性格、健康状態、頭の回転速度といったものを後天的にブラッシュアップしようと思ったら、伝統武術の稽古方法が非常に参考になります。

 当時から、自分を変えるためのキーポイントが身体にあることには気付いていましたが、的外れな努力もしました。

 最初は大学のジムでウェイトトレーニングをやりました。確かに筋肉がついて、より重いウェイトを持ち挙げられるようになりましたが、「何かが違う」と思いました。「筋肉がつく」以外のメリットが殆ど認められないからです。

 例えば、ベンチプレスで40kg挙げられたものが、50kg挙げられるようになる。僕にはそれが人生を切り開くだけのブレイクスルーになり得るとは思えませんでした。

 紆余曲折を経て、僕は指導を受けて中国武術とヨガを熱心に習いました。結論から言うと、潜在能力を開くのに、この2つは相当に有効でした。

 僕の体感では、性格や能力は身体的なものです。だから「ポジティブ思考をしよう」と頭で決意しても、おそらく自分を変えられません。それよりは身体を調整することによって、性格を変えた方が楽で合理的です。

 思考の柔軟性と身体の柔軟性には相関関係がある。ストレス耐性と身体のゆるみ具合にも相関関係がある。

 例えば「常にイライラする」などの症状は、身体の歪や硬直が悲鳴をあげているのだと思います。必要なのは身体の調整なのに、「イライラしない立派な人間になろう!」と決意しても仕方がありません。

 世の中にはこういう的外れな精神論がたくさんあると思います。

 ところが僕自身、社会人になってからは、頭だけを使って物事を処理する傾向が強くなってしまいました。この姿勢は全面的に改めようと思います。

 今後は、平日は高岡英夫氏が考案したゆる体操をして、週末は基本功と太極拳の型をやることにしました。

 試合を想定して練習していた頃と比べると唖然とするくらい負荷を軽くしました。それでも、やらないよりはやった方が遥かにいいものです。そしてこれは根性ではなく、気持ちいいからやります。

 一般に「精神の問題」と考えられていることは、大方、身体を調整することで解決できると。僕は思います。

伝統武術の稽古方法が非常に参考になる。

僕も学生時代に比べると、大分、性格が温厚になったと思う。その理由は、身体をゆるめて柔らかくする方向に注力したから。しかし近頃、身体をゆるめる調整を怠っていたせいか、だんだん身体が硬くなって、傲慢になってきた。もっと身体をゆるめよう。

近所の公園で身体の調整。学生時代に習っていたスワイショウ、基本功、太極拳の型をやった。試合を想定して練習していた頃と比べると唖然とするくらい負荷が軽い。それでも、やらないよりはやった方が遥かにいい。

僕の体感では、性格や能力は身体的なものである。だから「ポジティブ思考をしよう」と頭で決意しても、おそらく自分を変えられない。それよりは身体を調整することによって、性格を変えた方が楽で合理的だ。

思考の柔軟性と身体の柔軟性には相関関係がある。ストレス耐性と身体のゆるみ具合にも相関関係がある。一般に「精神の問題」と考えられていることは、大方、身体を調整することで解決できるのではないでしょうか。僕はそう思います。

 (1400字)
 
 山田宏哉記

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 2011.4.4 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ