ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2954)

 豊かになる世界、貧しい国になる日本

 今回の震災と原発事故で、日本は"先進国"から転落したように思います。

 福島県の農作物に関する風評被害が云々されていますが、最も警戒すべき風評被害は、日本の製品に対する品質や信頼性の部分にあるでしょう。

 原発事故が長期化し、計画停電で供給が滞ったことで「技術立国・日本」の看板は大きく毀損されました。怖いのは、日本製と言えば「低品質で供給が不安定」というイメージが世界に広がることです。

 輸出産業が打撃を受けると、失業が深刻化し、農家への補償レベルの話では済まなくなります。

 もっとも、大なり小なり、世界経済はもう「日本抜き」で進むことになると思います。残念ながら、たぶんそれは避けられません。

 一方、震災や原発事故の被災者は貯金を取り崩しながら、避難生活を送っているようです。

 収入源がないと、いずれ生活が成り立たなくなることは明白です。震災で家と仕事を失った人に対して丁寧にフォローしないと、そのまま生活保護受給者になってしまう可能性があります。

 被災者から生活保護受給者へ。そうなると、いよいよ日本社会の「底」が抜けることになります。

 [引用開始]

生活保護受給200万人に迫る 震災で大幅増は確実

 厚生労働省は5日、全国で生活保護を受給している人が今年1月時点で、199万8975人だったと公表した。戦後の混乱の余波から月平均で約204万人を記録した1952年度並みの水準。東日本大震災の影響もあり、今後、200万人を大きく上回るのは確実な情勢だ。

 厚労省の集計によると、受給者数は前月より9398人増。前年同月比では17万1338人増えた。受給世帯数では、1月は144万1767世帯。2008年5月以降、過去最多を更新し続けている。

 生活保護の受給者数は、バブル崩壊後の1995年度の約88万人を底に増加に転じ、2006年度には150万人台に。08年のリーマン・ショック以降、景気低迷と雇用悪化のあおりで失業した現役世代の受給が増えている。

 東日本大震災と福島第1原発事故で住居と仕事を失った被災者は多い。生活再建のめどが立つまで生活保護に頼る人が大幅に増えるとみられる。厚労省は、避難先の自治体でも保護の申請や相談に応じるよう、都道府県に通知している。

http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501000639.html

 [引用終了]


 一言で言うと、日本は貧しい国になる。あまり報道されていませんが、今、日本に"出稼ぎ"に来ている外国人は次々と帰国しているようです。

 冷静に判断すれば、日本のピークは1990年前後でした。2000年頃は「失われた10年」と言われ、2010年頃にはこれが「失われた20年」に延長しました。そして今後10年は、"復興"にかかりきりになるでしょう。

 さすがに「失われた30年」などという話はありません。もともと1990年以降、日本は衰退局面に入っただけの話でしょう。

 日本で生まれて、豊かで挑戦的な生活を送ろうと思ったら、若いうちに海外で生活できるだけの技能と語学力を磨くのが良いのだと思います。

 それができないのであれば、"貧しさ"を引き受けるしかない。職業選択の幅がなくても、「仕事があるだけありがたい」と考えるしかない。

 今後日本が、年金と生活保護等の社会保障を維持・運営するだけでも手一杯の国になることは明白でしょう。

 早めにそう覚悟を決めるのが賢明かと思います。

 (1400字)
 
 山田宏哉記

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 2011.4.5 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ