ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2957)

 高岡英夫(著)『体の軸・心の軸・生き方の軸』覚書

 高岡英夫(著)『体の軸・心の軸・生き方の軸』(ベースボールマガジン社)を読了しました。

 個人的に今、"自分の限界"を感じているところなのですが、ブレイクスルーのために何が必要なのか、そのヒントがつかめたと思います。

 特に収穫が大きかった高岡氏の洞察を引用します。

 [引用開始]

 人が優れるということは、自分及び自分以外の人間の存在としての重みをどれだけ強く感じられるかに、根本的には影響されているのです。その根本能力が何に影響されているのかというと、軸の優劣です。(P69)

 スポーツで頂点を極めるような人たちでも実業家でも文学者でも、本当に優れた人になるような人たちは、キチッとした姿勢を取らなかった人たちなのです。(P132)

 ゆるむことと軸の関係はとても深いものがあります。そして、軸が通るということはスポーツ選手の身体運動能力だけではなくて、すべての分野における精神的な能力、人間関係的な能力の源を支えるものにもなり得るわけです。(P214)

 [引用終了]


 成果を挙げるためには、具体的専門能力(法律の知識や文章力等)を磨くことと、より汎用性の高い身体感覚・身体能力(健康状態や意欲を含む)の両方を磨く必要があリます。

 ところが、これまで僕は前者の具体的専門能力の習得に偏重し過ぎていました。そのことに気付かされました。

 組織で働くときは、自分だけが突出して具体的専門能力を磨くと、周囲との波長が合わなくなりがちなので注意を要します。

 勤務時間外の自己研鑽では、専門資格の勉強をするより、汎用性の高い身体感覚・身体能力を磨いた方が、成果が上がるのではないか、と思いました。

 例えば、他人と話をするときに、"波長を合わせる"というのはとても大切なことです。但し、これは身体的な暗黙知で、言語化が難しい。できる人は自然とできるが、できない人はその存在にすら気付きません。

 しかし、仕事で差が付くのは、明文化された知識ではなく、結局はこういう暗黙知の部分なのです。

 何を今更の話であるが、仕事を続けられなくなるのも、身体的な問題であることが多いものです。病気や怪我はわかりやすい例だが、「早起きできない」「やる気がでない」「ストレスに耐えられない」といったことも、結局は身体的な問題です。

 アスリートがウェイトトレーニングをすると、部分的な筋肉は増強されるが、トータルとしてのパフォーマンスは下がることがあります。実務家にとっての「専門的能力の習得」もこれと似ていて、うまくやらないと全体の成果を下げてしまうことがあると思います。

 的を射ない努力は有害無益です。これで「努力が報われない」とか言って、世の中を逆恨みするようになったら、悪循環にハマってしまいます。

 実務家が「リーガルマインド」や「論理的思考力」を身につけようと努力した場合、下手をすると他者の感情を無視した教条主義者になってしまうでしょう。これなら何もしない方がマシです。

 もちろん、「的を射た努力」をするために具体的に何をするべきかは、各人が置かれた環境や現時点での能力によって違ってきます。だから、普通は一般論では語れません。

 但し、身体能力や身体感覚は、万人にとって技能の土台となる部分なので、磨けば確実に報われます。そんな射程の広いことまで考えさせられる一冊でした。

 (1400字)
 
 山田宏哉記

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 2011.4.8 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ