ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2958)

 土木作業員からの再起

 NHKクローズアップ現代「避難者15万人 くらしをどう再建するか」(2011年4月11日放送)を視聴しました。

 あまり本筋ではないところですが、津波で農地を失った方がハローワークを訪れたシーンが印象的でした。

 ハローワークの職員から勧められた仕事は、土木作業員。「現場を転々とするため家には帰れない」という労働条件です。ハローワークの職員から「問題ありませんか」と確認されていましたが、追い詰められた立場では、やるしかないでしょう。

 ハローワークの職員から土木作業員を勧められるのは、将来の自分の姿であるようにも思います。

 僕が被災者だったら、土木作業員をするのは構いませんが、トラックの荷台とか詰所で寝泊まりをするのはさすがにきついものがあります。しかしいずれ、そんな贅沢は言っていられない時がくるかもしれません。

 高齢者や基礎体力が足りない人には、そもそも過酷な肉体労働は厳しいでしょう。怪我をしたり、身体を壊すリスクもあります。

 男性に対しては「それでもやるしかない」と敢えて厳しいことを言わざるを得ません。

 事務所で悠々と書類を作成していればいいような仕事は、これからはもうないと考えた方が良いでしょう。

 かつて日本が貧しかった頃、仕事は単純に生活の糧を得るための手段でした。仕事に"生きがい"や"自己実現"を求めるのは、世迷い言でした。

 そしてまた、日本はこれから貧しい国になるでしょう。少子高齢化に加え、震災と原発事故が追い討ちをかけました。

 かつて武術の師匠が「会社が倒産したからと言って、途方に暮れる必要はない。ツルハシを持ってやり直せばいい」と言っていました。確かにその通りです。

 土木作業員からやり直す。それが被災者にとっての現実だと思います。同時それは、誰しも胸の内に秘めるべき覚悟ではないでしょうか。

 (800字)
 
 山田宏哉記

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 2011.4.12 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ