ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2972)

 仙台の個人タクシー運転手の方のお話

 先日(2011年5月1日)、仙台城から仙台駅まで個人タクシーを利用する機会がありました。その間、運転手の方から色々と貴重な話を伺うことができたので、以下、記しておきます。

【写真1】仙台城から望む仙台市街地。被害は比較的軽微。


【写真2】仙台市若林区。津波に呑まれた大地。風で砂塵が舞う。


1.「宮城では地震の直後に停電になった。それで、(TVなどの電源が入らないため)どうしていいのかわからなくなって、津波に呑まれた人も多い」

2.「私の知り合いも地震の後、家に戻って車ごと流された。後日、流された車は見つかったが、中には誰もいなかった。」

3.「地震の際、港で船に乗っていた人たちは、津波の情報を得て、一斉に沖に退避しようとした。いち早く沖に出た人たちは助かった。出遅れた人たちは、全速で前進しようとしても、船ごと津波に押し戻されてアウトだった。」

4.「[仙台市若林区の]荒浜の方では津波で流された自動車が放置されているけど、今なら無料で撤去してもらえる。放っておくと、持ち主が自分で処分しないといけなくなる。持ち主は亡くなっていたり、流されて行方不明のことも多い」

5.「荒浜の方の人たちは、大抵、津波保険に入っている。但し、保険会社の方も商売。査定も厳しいだろうから、あまり補償に期待はできないでしょう。」

6.「仙台城の石垣や崖が崩れていて『早く直せ』と思うけど、今は津波で浜の方が大変なので、こちらを修繕する余裕がない。まぁ、仕方がない。」

7.「今のクルマはコンピュータを搭載しているので、塩水に浸かったらアウト。修理代が買い換えるより高くなる。でも、津波でクルマが流されても、"タイヤ"だけは再利用できる。」

8.(「復興が始まった」という実感はありますか、という質問に対して)曰く「仙台の市街地の方にはそういう雰囲気がある。但し、浜の方は地盤が沈んだり、田んぼが塩水に浸かって2〜3年は使い物にならなくなっているので、まだまだだ。」

 僕は最近までタクシーの中ではずっと「無言」だったけれども、これはもったいないと気付いた。

 タクシーの運転手は貴重な情報を持っていることが多い。それをうまく引き出すことができれば、タクシー代は高くない、と思う。もちろん「最近、暑いですね」みたいな会話に終始しては意味がない。

 タクシーの運転手と密度の高い会話をするためには、まず「地理的な質問をする」ことで話の糸口をつかむと良いのではないか。地理情報は運ちゃんの専門分野で、大抵、こちらより遥かに詳しいものです。

 (1000字)

 山田宏哉記

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 2011.5.5 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ