ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2982)

 震災ボランティアの戦友たち 被災家具搬出篇

 本日(2011年5月21日)、福島県のある市町村で震災ボランティアをした。

 9:20〜13:00 被災家具の搬出・廃棄
13:00〜14:00 別現場の災害ゴミ回収・廃棄

 この日の主たる任務は「津波被害を受けた個人宅の家具・家電等を屋外に搬出し、廃棄する」というものだった。人員は6名。うちひとりが軽トラックを提供した。

 震災ボランティアの現場では、軽トラックとその運転手は「引っ張りだこ」と言ってもいいと思う。大量のガレキやモノを運ぶには、一般の車では役不足なことも多い。

 僕たちは、軽トラック組2名とその他の組4名に分かれて現地の被災者宅に向かった。現場は、大型連中に一度、近くまで来たことがある場所だった。

 僕たちの組で、運転手を務めて下さったFさん。東京出身で、現在、福島県在住。週末の度に、震災ボランティアをしている、という。

 Fさんは、ブログに震災ボランティア関係のことを書いているようだ。地元の事情に通じていて、色々と貴重な話を伺うことができた。

 神奈川県から来た方は、ご年配で「仕事がない」という(定年退職されたのか、何かあったのかは不明)。車に一週間分くらいの食料をつめて、やってきた。高速代節約のため、下道で片道8時間。そして車中泊。一週間くらい作業して、さらに北上するのだそうだ。

(Fさんに「東京といわきを安く往復する方法」を尋ねたところ、高速バスのいわき号の回数券が良い、という(往復で¥5,500)。Fさんも東京に行くときは、いわき号の回数券を使うそうだ。)

 現場は、海からの距離が約400メートルくらいで、津波の被害が比較的浅い地区だった。とはいえ、床上浸水で大方の家具や家電の廃棄を余儀なくされていた。

 冷蔵庫、ガスコンロ、ストーブ、プリンタ、電子楽器あたりは、津波に呑まれたら廃棄しかない。

 木製の家具も、殆どが廃棄処分となった。無理に使おうと思えば使えたと思うが、壊れたり、泥水が染込んで重かったりするし、見る度に津波を思い出すのもつらいと思う。

 そのように廃棄するものを6人で協力して屋外に運び出し、軽トラックに積み込んだ。作業内容としては、"引越しアルバイト"に近い。

 棚やタンス、冷蔵庫や机などを運ぶのは、意外と大変だ。津波に呑まれたものであれば尚更。お年寄りだけの家だったりすると、まず運べない。こういう部分でも震災ボランティアの出番となったりする。

 但し、これまで僕が入った被災者宅は、いずれも「純粋な個人宅」ではなかった。店舗兼個人宅で、営業再開が必要な状況にあった。純粋な個人宅を訪れたときは、廃棄するものが既に家の外に出してあった。

 「ボランティアが自宅の家具を搬出して廃棄する」のに抵抗を感じる被災者は少なくないと思う。この辺りにもボランティアをうまく活用できない理由が潜んでいると思う。

 とはいえ依頼のあった被災者の方には、喜んでいただき、食事までご馳走になった。混ぜご飯(?)とトン汁。デザートもついていて非常においしかった。自分たちの生活が大変なはずだ。

 尚、本音を言うと、震災ボランティア活動中には、あまり飲食をしたくない。何しろトイレに行ける保障がない。断水で公衆トイレが"大変なこと"になっている地区もある。大抵の人は、活動中には一度もトイレに行かないように見える。

 もちろん、それを踏まえた上でも、充分に有難かった。

 ちなみに、被災者の方に話を伺ったところ、震災当日、「津波を見にいった」そうだ。そして、「津波が来たぞ!」と走りながら戻ってきた、という。これは運が良かったケースで、同じことをやって亡くなった人の数は、かなりの数に上るはずだ。

 搬出した家具は災害ゴミの仮置き場となっている市民運動場で廃棄した。

 家具についているガラス類は、安全長靴で踏みつけて破砕した。ガラスは呆気なく割れた。戸棚にはめ込まれたガラス類は、分別してガラスとして処分する必要があった。 

 また、別の場所の震災ゴミも軽トラックで回収して廃棄した。その中に「アスベスト」と書かれたボードがあった。割って捨てる必要があったので、僕は安全長靴でアスベストのボードを破砕して捨てた。100円程度のマスクだったが。

 今日の作業内容は、「引越しアルバイト」と比較的似ていた。男性限定の力仕事だったが、完遂。正直、かなりきつかった。

 もっとも、Fさんに言わせると、今日の作業量では「まだまだ物足りない」そうだ。

 山田宏哉記

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 2011.5.21 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ