ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3001)

 震災ボランティアの戦友たち
           全壊地区の現場リーダー篇

 
 一昨日(2011年6月19日)、福島県のある市町村で震災ボランティアをした。

  11:30〜15:15 個人宅敷地の瓦礫撤去

 この日は、11名のチームで(うち女性が4名。東京から来た人が半数くらい)で津波被害が甚大だった地区の個人宅で瓦礫撤去をすることになった。

 現場リーダーは僕は務め、サブリーダーは地元のKさん(♀)が務めた。

 依頼票を確認すると現場は、ライフラインが復旧しておらず、断水状態とあった。トイレが使えるかどうかわからないので、なるべく現場に行く前にトイレに行くようにお願いした。

 僕たちは、3つの車に分かれて現場に向かった。

 現場は津波による死者が120名以上、殆どの家が全壊という地区だった。瓦礫はかなり撤去され、家の基礎部分だけが残されていた。

 依頼者のお宅は、津波が床上まで押し寄せていたものの、全壊は免れていた。依頼内容は、瓦礫だらけの庭の片付けと津波に飲まれた家具や食器類の清掃だった。

 食器の片付けは女性2人にお願いし、力仕事となる被災家具の運び出しは、僕を含めて男3人でやった。そして、残りの6人(男4名、女性2名)で庭の瓦礫撤去という役割分担とした。

 津波に飲まれたタンスは、砂が詰まって、引き出しが開かなくなっていた。こういう場合、一度、引き出しを奥に押し込んでから再度引くと、案外抜けたりする。僕たちはこうして、開かずの引き出しを開けていった。

 庭には大量の堆積物が流れてきていて、地面にスコップを入れると、瓦やブロックの破片が次々と出てきた。まずは表面の目立つ瓦礫を取り除くことにしたが、本来の地面がどこにあるのか、よくわからない状況だった。

 また庭には、倒壊したブロック塀の一部や岩が転がったままになっていた。やたら重いので、片付けるのが大変だった。

 ところで今、女性用の安全長靴は手に入りにくい状況となっている。今回、一緒に作業をした女性2人は、普通の長靴に鉄入りの中敷を敷いて、釘の踏み抜きを防止していた。

 僕は作業の進捗状況を見て、サブリーダーのKさんとも相談し、休憩を折り込んだ。僕は、あまり自分の作業に熱中しないように気をつけた。

 昼休み、現場近くにブルーシートを敷いて、そこで昼食とした。依頼者の方からもパンと飲み物の差し入れを頂いた。

 遅ればせながら、そこで全員の自己紹介をすることにした。食べ終わると、「散歩に行きたい人はどうぞ」と言って、僕も散歩に出かけた。

 東京から初めて震災ボランティアに来た人は、「自分の眼で津波被害を見たい」と思っていることが多い。その一方で、物見遊山のような気持ちで来ては不謹慎だ、とも思っている。その辺りの気持ちへの配慮が、僕にも少しはできるようになった。

 東京から来た人たちは、昼食後全員、"散歩"に行った。僕も以前、地元に方に"散歩"に連れて行かれて、「津波被害の実態をよく見て帰って欲しい」と言われた。まだまだ復興には程遠いことを実感して貰えればいいと思った。

 炎天下の中での作業だったが、食器とタンスの清掃は時間内にほぼ終わらせることができた。庭の片付けは、目立つ瓦礫は撤去して随分と綺麗になった。依頼者の要望には答えられたと思う。

 処分できない鉄骨入りのブロック塀が残り、堆積した土砂を取り除く作業まで行けなかったが、メンバーたちが満足そうな表情をしていたので、良かったと思う。

 依頼者の方と、次回はブロック塀を処分できる人に来て貰うことや石灰を撒くことを打ち合わせて、作業終了とした。

 そして、ボランティアセンターで全員が無事に戻ったことを確認。「東京から来た方は、今日、体験したことを積極的に周りの人に話していただければ、と思います」と挨拶して、チームを解散した。

 震災ボランティアの現場リーダーは大変だが、とてもやりがいがある。大規模な現場になる程、依頼者の要望に応えられるかは、リーダーの采配と段取りにかかってくる。

 震災ボランティアは5回、10回くらいやれば、かなり「経験豊富」な部類に入る。それくらいの経験を積んだら、積極的に現場リーダーを引き受けた方がいい。ホワイトカラーのビジネスパーソンにとっても、「学びの宝庫」であることを保証する。
 
 山田宏哉記

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 2011.6.21 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ