ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3008)

 若いうちから活躍するための心得

 今ほど、若手の活躍が求められているときはないでしょう。

 僕は若手が仕事をする上でいちばん必要な心得は、「仕事の報酬は仕事」「ルーティン・ワーク(定型業務)の習熟」ということだと思います。

 よく学生は「若いうちから責任ある仕事を任せて貰えるか」ということを気にします。これは組織の問題というよりも、本人の実力次第の場合が大半でしょう。

 「日本の大企業は年功序列だから、若手が活躍できない」というのは、かなり表面的な見方です。

 職位や給与は同じくらいでも「実力に応じて、任せる仕事で差をつける」のが伝統的な日本企業のあり方です。この背景にあるのが「仕事の報酬は仕事」という考え方です。

 「仕事の報酬は仕事」とはよくぞ言ったもので、実感にも合います。

 「大企業だから、若いうちは活躍できない」というのは、おそらく幻想です。活躍できないとしたら、それは本人の実力が低いからに他ならないでしょう。年齢を言い訳にする時点で、既に負けています。

 そこで忘れてならないのが、ルーティン・ワーク(定型業務)です。まずはルーティン・ワークに習熟し、仕事の型を身に着けることが、若いうちから活躍するための第一歩だと僕は思います。

 ルーティン・ワークを馬鹿にする人は、仕事の基本ができていない。僕ならそう判断します。

 関島康雄(著)『組織内一人親方のすすめ』には、珍しくルーティン・ワークの効用が明瞭に記されていたので、以下、引用します。

 [引用開始]

 組織に所属して仕事を覚える場合、まずやることは、仕事の手順を覚えることである。手順を学習することは過去の教訓を学ぶことである。ルーチンが人を育ててくれる理由がここにある。

 ルーチンには、経験が積み重ねられている。組織が上手に動くように、仕事の領域とインターフェイス、すなわち他部署との仕事の接点が過去の経験にもとづいて設定されている。(前掲書 P69-70)。

 [引用終了]

 また、マネジャーの視点に立つと、特定の部下にだけ嫌な仕事、損な役回りの仕事だけを振り続けるのは案外、難しいものです。別にやってもいいのですが、やり過ぎると、自分の信用問題に関わってきます。

 だから、現実には自分だけが「面倒で誰もが嫌がる仕事」だけをし続けるのは難しい。

 そういう意味からも、ルーティン・ワークに習熟し、他の人が嫌がる役回りを引き受けていれば、自ずとチャンスは回ってくるように思います。

 尚、注意しなければならないのは、「若いうちから高い役職と高い報酬を得られるか」という問と「若いうちから責任ある仕事を任せて貰えるか。活躍する機会があるか」という問は、一見似ているが全く違うことです。

 例えば、大企業であればマネジャーになるのに10年以上かかるのに、ベンチャー企業では入社1年でマネジャーになれたりする。こういう"役職の大盤振る舞い"はベンチャー企業の方に分があるでしょう。

 しかし、仕事そのものに焦点を当てれば、この種の肩書きにこだわるのは、あまり意味がありません。いい仕事をするために必要なことは、役職や権限ではないはずです。

 何せ、地位や給与にしか興味がない人が多いので、その分、意欲のある人が若いうちから活躍するチャンスはあります。問題はそれに気付いて掴めるか、でしょう。
 
 山田宏哉記

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 2011.7.1 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ