ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3011)

 大学の講義は仕事の役に立つか

 何十年も前から囁かれているが、「大学の講義は仕事の役に立つか」。実務家の視点から、この問に答えてみたい。

 僕自身に関して言うと、大学の講義で教わったことが、仕事で役立っているかと言うと、答えは限りなくノーに近い。読書、アルバイト、武術修行、ウェブサイト運営の経験は役立っている。

 何故か。結局のところ、大卒で日本企業に就職しても、現場のオペレーションで求められる技能が、大学教育で学ぶことととかけ離れているからだ。

 それよりはむしろ、体力や気配りといった属人的な特性の方が重要になる。

 また、「学者の名前と学説を引用しつつ、何かを言う」というアカデミズムの文法は、あまり実践的とは言えません。実務の世界では「傍観者みたい」と心象を悪く可能性の方が高いでしょう。

 実際的な問題を解決するには、教養はあまりいらない(「全くいらない」わけではないので注意)。

 「日経新聞」を読まなくても仕事はできるけれども、キチンと読んでいれば、仕事のクオリティを高められる(こともある)。

 実社会では、学問や教養は、それくらいの位置付けだ。少なくとも、決定的な要素ではない。だから、あまり頼りにはならないし、むしろ頼りにするべきではない。

 だから、毎回授業に出席する学生よりも、テスト前に友人からノートを借りる学生の方が、社会に出て活躍できる可能性が高い。

 何故なら「困ったときに、他人の力を借りて物事を解決する」という能力は、社会人にとって、決定的に重要な技能だからです。

 大学生活を仕事に役立てたいのであれば、行動とアウトプットを意識することが大切だ。

 こういう書き方をすると、仕事がとてもつまらないように見えるかもしれないが、そんなことはない。

 実際にやってみると、実務の世界は奥が深いとわかる。「仕事の報酬は仕事」であることが、実感としてわかる。

 但し、それはやはり経験した人にしかわからないと思う。社会人であっても、仕事が嫌いな人はたくさんいる。いやむしろ、それが普通なのかもしれない。

 いずれにせよ、僕たちの日常生活は、他の誰かの献身的な仕事の上に初めて成り立っている。「お客さん」として社会生活を営むだけでは、やはり深いところはわからない。

 ちなみに、大卒者が知的に仕事をしようと思ったら「言語表現能力を高める」「人間の心理に強くなる」「統計の素養を身に付ける」「情報感度を上げる」「ビジネスモデルと業務プロセスをよく理解する」「ITに強くなる」等、やるべきことは無限にある。

 まぁ、何はともあれ、ふて腐れないことが一番大切だ。
 
 山田宏哉記

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 2011.7.9 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ