ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3020)

 西洋美術館「古代ギリシャ展」鑑賞記

 先日(2011年7月23日)、上野の西洋美術館で開催されている「古代ギリシャ展」を見学してきた。

【写真】上野の西洋美術館。 

 イギリスの大英博物館の貯蔵品のうち、古代ギリシアの身体関連の作品を集めて展示していた。開館10分前から並び始めたが、なかなかの盛況ぶりだった。

 メインの作品は円盤投げ(ディスコボロス)。

 これは確かに、彫刻でありながら、躍動感が溢れる作品で非常に印象に残った。360度、どの方向から見ても作品として成立する。裸の男のポーズは、大抵、様にならないものだが、円盤投げのポーズならばありだ。

 絵画はデジタル化しても一応、鑑賞に耐えられるように思うが、彫刻は現物と対峙しないと、本質的な部分は伝わらないと思う。見る角度を変えると、作品の見え方も変わる。だからこそ、作品との「対話」が生まれる。

 今では博物館に飾られるような立派な絵柄の壺や皿は、当時、実際に使われていたようだ。落としたら割れてしまう陶器に、精密な絵柄を書き込み、それを飾るのではなく、日常の食事に用いる。この贅沢さには、ちょっとめまいがした。

  今年5月に仙台市立美術館で開催された「ポンペイ展」ポンペイ展でも感じたことだが、人間の生活は、2000年前と比べて、変わっている部分と、あまり変わっていない部分がある。この見極めは極めて重要だ。

 例えば、衣と食の分野は、それほど本質的な進歩をしていない。

 古代ギリシャには奴隷がいて、労働や生活の雑事は奴隷が担っていたようだ。今日の感覚からすると「奴隷なんて酷い」となるが、奴隷をしていれば「衣食住」が確保できた面は見逃せない。

 奴隷とは退職の自由がない労働者であり、労働者とは退職の自由がある奴隷である。

 観覧料は¥1,500だが、その価値はあった。この分野に詳しい方と行ったので、関連知識を仕入れることができ、知的に満腹となった。

 山田宏哉記

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 2011.7.26 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ