ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3029)

 震災ボランティアの戦友たち ブロック塀倒壊篇

 先日(2011年8月7日)、福島県のある市町村で震災ボランティアをした。

10:30〜15:15 倒壊ブロック塀への対応

 朝、ボランティアセンターに行くと、「津波被害以外」の案件も募集されていた。先週一緒に作業をしたKNさんは、「山崩れ」の案件に行った。

 僕は4人のチームで地震によるブロック塀倒壊の後処理の案件をすることになった。

 ブロック塀には通常、鉄骨が入っていて、「数珠繋ぎ」のようになっている。そのため、鉄骨を切断しないと、ブロックを細かく分けて運ぶことができない。鉄骨を切るには専門の技術と工具が必要だった。

 そして、この「鉄骨を切る」という作業は前日の段階で終了していて、僕たちはその後始末をすることになった。

 リーダーを務めたのは、ARさん。前日もこの現場に入っていた。普段は千葉で会社員をしているという。福島までは車で来て、車中泊をしていた。

 持って行った資材は、テミと土嚢袋50枚のみ。軽トラの荷台には、既に前日分のブロックが積まれていて、これを災害ゴミの仮置場に運ぶ必要があった。

 僕たちはASさんが運転する車で現場に向かった。ARさんは福島県郡山市の建築会社に勤務。会社の労務管理の一環として、毎日、どこに何時間いたかによって被曝量を計算し、基準(積算40ミリシーベルト)を超えないようにしているという。

 現場は、茨城県との県境の近くだった。依頼者宅につくと、幼児がビニールプールで遊んでいた。まず、僕はARさんとブロックの廃棄に向かい、残った2人が依頼者宅の庭でブロック塀の整理をすることにした。

 軽トラの積載量が350kgというのがネックだった。現場から仮置場まで片道30分程度かかったが、これでは運搬回数が制約され、あまり大量には運べない。

 災害ゴミの仮置場は、山の中にあり、割とこじんまりとしていた。所定の場所に車をつけ、ブロックを放り投げ、仮置場を後にした。

 依頼者宅に戻ると、残って作業をしたメンバーが廃棄するためのブロックを家の前に積み上げていた。僕たちはそれをトラックの荷台に積み、昼休みにすることにした。

 ところが、突然、依頼者が怒り出した。捨ててはいけないブロックも捨てようとしていたらしい。依頼者は、トラックに積み込んだブロックの中から、「捨ててはいけないブロック」を選んで降ろし始めた。

 これは失敗だった。「ブロック塀を捨てる」と聞いていたので、その辺にあるブロックは全て捨てるものと思い込んでいた。

 昼食休憩後、今度は僕とASさんが現場に残って作業をした。この前日、鉄骨入りのブロック塀を破砕したのはいいが、「隣の家の畑」にブロック塀の破片が散乱して、依頼者が苦情を受けたらしい。それを最優先で処理した。

 作業中、依頼者が「うぅ、めまいがした」とつぶやいて、庭に座り込んだ。そして、帽子を顔に被せて横になった。大事になると困るのだが、ASさんと「大丈夫ですか?」と声をかけると反応があったので、そのまま休んでいてもらうことにした。

 土嚢袋が50枚では足りなくなりそうだったので、「本当に小さい破片」以外は、そのままトラックに積載して仮置場に運ぶことにした。

 リーダーのARさんが仮置き場から戻ってくると、僕は「仮置場にブロックを捨てて、そのままボランティアセンターに直帰」という段取りを提案した。この提案が採用され、この日の依頼案件を処理できることが確実になった。

 最後に僕たちは全員で、めまいから回復した依頼者と、「隣の畑」に散らばったブロックの破片を取り除く作業をした。ひとつずつ手でつまみあげるにはあまりに細かいので、テミで大雑把に破片を含んだ土を掬い取り、それを篩(ふるい)にかけて土嚢袋に詰め込んだ。

 隣の畑に散らばったブロック片を綺麗に取り除いたことで、「大事なブロックを捨てようとした」失態を何とかカバーできたのではないかと思う。依頼者も笑顔で見送ってくれた。

 僕たちは仮置場に立ち寄り、全員でトラックの荷台に積んだブロックや鉄骨を放り投げた。これで作業終了。

 「津波被害以外の現場」に入るのは今回が初めてだった。

 東北地方は津波被害が酷いが、純粋な地震の被害も相当ある。この日の現場の依頼者宅の前の道も、アスファルトが剥がれたり、地面が不自然に凸凹になったりしていた。これまで手が回らなかったところに、ようやく手が回り始めた。

 山田宏哉記

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 2011.8.12 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ