ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3045)

 情報共有の落とし穴

 表向き、ビジネスの現場でも「情報共有」が重要なテーマになっている。

 但し、率直に言って、職場で情報共有をするのは難しい。

 僕もビジネスの仲間に対しては、共有する記事や内容、配付先をかなり厳しく精査する。不特定多数に対して情報を提供することは、まずない。

 なぜか。散々痛い目に遭ってきたからだ。

 情報共有は、それほど至急案件ではない。だから大抵、情報提供者に対して「そんな事をやる暇があったら、他にやることがあるだろう」という反感が巻き起こる。

 善意で貴重な情報を提供しても、相手に見識がなければ「余計なことばかりして…」と思われるものだ。

 そればかりか、情報共有に熱心だと、暇だと見做され、評価が下がるリスクもある。スローガンとしては熱心に謳われても、実態が伴わないと、こういうことになる。

 僕は、社会人1年目の頃から、例えば勤務先や業界関連の注目ニュース等をビジネスの仲間と共有してきたし、それで随分と感謝の言葉も頂いた。そのためには、やはりちょっとしたコツがあった。

 第1は、情報を厳選すること。「なるほど」と思われる程度では弱く、「自分の技能向上や自社のビジネスに役立つ」と思われる情報であること。その上で「なぜ、その情報が有益なのか」について、簡潔なコメントを付して共有すると、余計な反感を持たれる可能性を減らせる。

 第2は、配付先を厳選すること。プラスαの情報は、「自分と価値観と似ている人」か「情報共有を重視する姿勢のある人」以外には展開しない方が賢明だ。良かれと思ってやったことでも、マイナスの結果をもたらすことは多い。

 第3は、配付時刻は忙しい時間帯を避け、タイトルは「不急の参考情報」であることが一目でわかるようにする。僕は大抵、タイトルの頭に【ご参考】のフラグを立てて展開する。

 肝になるのは、自分がとても大事だと考える情報を、「あくまで不急の参考情報です。ご活用頂ければ幸い」という低姿勢で展開することだ。

 よく「押し付けがましくならないように奢るのは難しい」と言われるが、情報共有にもそれに似たところがある。

 いずれにせよ、ビジネスの現場ではツイッターのような感覚で情報共有をするのは、全く勧められない。それでは確実に足元を掬われてしまう。

 ビジネスパーソンはあくまで実務で飯を食っているのであり、情報共有よりも優先するべき案件が多い以上、それは当たり前のことなのだ。

 山田宏哉記

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 2011.9.6 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ