ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3048)

 仕事を作る側、作業をこなす側

 震災から半年が経ち、ボランティアとして福島県南相馬市に4度目の探訪をしてきた。

 私見では、震災ボランティア活動は「人を選ぶ」ようになってきている。南相馬でも、誰でも飛び入りで飛び入りで参加できるボランティア・センターの案件が減る一方で、実際には「人が足りない(ボランティアを含む)」という状況が続いている。

 ボランティアには、「仕事を作る側」の人と、「作業をする側」の人がいて、足りないのは前者の方だと感じた。

 震災ボランティアの世界では、「自ら仕事を作る」人のところに案件が集中する一方、「ボラセンに行けば仕事を紹介して貰えるだろう」という"指示待ち人間"には「仕事はありません」という状況になりつつある。

 僕はふと、本業のビジネスについても、同じことが言えると気付いた。

 「言われたことをやっている」と胸を張る社会人は結構いる。

 ビジネスの世界において「言われたことをやる」というのは、勉強の世界で言う「暗記」と同じようなものだと思う。必要なものだが、それだけではあまり付加価値を生まない。

 社会人になった頃、僕も仕事術の本を結構熱心に読んだ。それらは「作業効率を上げるテクニック」の話が中心だった。「作業効率を上げるテクニック」の意義を否定する気はないが、僕はやがてそれらがあまり価値のある話とは思えなくなった。

 僕には、「作業をこなす」という姿勢の人に、明るい未来が到来するとはどうしても思えない。「言われたことを効率よくこなす」のは、人間よりも機械の方が得意だし、日本人より中国人の方が人件費が安い。

 「言われたことを効率よくこなす」のは、いずれ機械か新興国の若者たちに代替される仕事の仕方だと心得た方が良いと思う。

 僕は、仕事を作るスキルこそ、最も大切だと考えている。

 仮にフリーランスとして独立したら、最も大切なことは何か。それは「自分の仕事」を確保することに他ならない。手がけるべき案件がなければ、何も始まらない。

 「作業をこなす」「作業効率を上げる」というのは、あくまでその後の話。つまり「下流工程」だ。

 僕自身、組織で働いていると、ついこのことを忘れがちで、よく自戒している。

 仕事を作る方法としては、自ら企画提案するというやり方が王道だと思う。やりがいがあるし、自分の実績としてもアピールしやすい。もっと言えば、自ら企画提案した案件を完遂して初めて、一人前のビジネスパーソンと言えるのではないか、と僕は思っている。

 「仕事を作る」か、「作業をこなす」かは、地位やポジション、職務や雇用形態の問題ではない。アルバイトであっても現場を改善することはできるし、経営者であっても「ハンコを押すだけ」ならば作業員だ。

 要は、「働き方」と「志」の問題だと僕は思っている。

 南相馬のボランティア・センターの募集案件をみたら、写真洗浄系の案件が中心で、瓦礫撤去や除染系の案件は募集していなかった。但し、実際は瓦礫撤去も除染もボランティアがやっている。「誰でも可」とはいかなくなっただけだろう。

 仕事を作る側と作業をこなす側。その格差は深く、今はまだ問題として認識すらされていない。

 山田宏哉記

【関連記事】
情報共有の落とし穴(2011.9.6)
なぜ、カリスマ・リーダーは人を育てられないのか(2011.9.4)
日本企業で働く希望 (2011.8.29)
なぜ、真面目な人は成果を出せないのか (2011.7.25)

Tweet@HiroyaYamadaをフォロー

 2011.9.19 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ