ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3051)

 成果主義と能力主義は違う

 先日、日本マクドナルドが定年制を復活するという旨の報道がなされた。

 [引用ここから]

 日本マクドナルドは2012年1月から60歳定年制を6年ぶりに復活する。年齢に関係のない実力主義の浸透を目指す一環で06年に定年制を廃止したが、個人の成果を重視するあまり、若手社員を育成する組織づくりが進まないと判断した。

 同社は04年に年功序列の人事・賃金制度を廃止するなど実力主義の人事体系を進めている。定年制廃止も年齢ではなく実力本位の意識を徹底する狙いがあったが、「後進を育てる文化が浸透する前に廃止したのは早すぎた」(同社)としている。(「日経新聞」2011年9月17日付)

 [引用ここまで]


 さすがに日経新聞は「成果主義」という言葉を用いていないが、これを「成果主義の弊害」とする報道も見られた。

 成果主義と能力主義は違う。ビジネスの世界で生きる上で、この点を認識するのはとても重要なのだが、理解している人は少ないように思える。

 上記の報道から判断する限り、日本マクドナルドは、能力主義ではあっても、成果主義ではない。

 成果主義とは「損益への貢献度に基づいて評価する」という考え方であり、制度である。だから、あくまで「結果だけを見る」。

 そして、ここが重要なのだが、成果主義においては「能力の高低」は評価対象ではない。おそらく、日本企業で成果主義を徹底している企業は殆どないし、大抵、能力主義を成果主義と呼んでいるのだ。

 それでは、ビジネスの世界における能力主義とは何か。

 改めて定義すると「職務遂行に必要な能力の習熟度合いによって、人材を評価する」という考え方又は制度のことだ。

 そして、日本企業の主流は、年功序列でもなく、成果主義でもなく、能力主義で運用されている。

 昔から言われる人事の要諦のひとつは「結果には報酬で報い、能力には地位で報いる」というものだ。これは戦国大名が家臣を処遇していた頃から変わらない。

 だから、強いて言えば、成果主義はボーナスと連動し、能力主義は昇進と連動するのが普通だ。

 日本企業が欧米企業と違う点に、「仕事の報酬は仕事」という考え方があるが、それが日本企業が能力主義で運営されている実態を見えにくくしていると僕は思う。

 「年功序列か、成果主義か」という二項対立はおかしくて、どちらも問題が多い。人材育成の観点から見ても、組織運営の基本(人材配置)は能力主義が望ましく、ボーナスを成果主義と連動されるのが合理的だと、僕は個人的に思う。

 以上、ビジネスパーソンにとって避けて通れない話であるにもかかわらず、誤解している人が多いように見受けられるので、改めて記しておく。

 山田宏哉記

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 2011.9.19 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ