ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3052)

 会社に頼ること、頼らないこと

 若者のあいだで、終身雇用や年功序列を望む気持ちが高まっている。その一方、「組織に頼らない生き方」も一定の支持を集めているようにみえる。

 勤務先にどこまで頼れるのか。あるいは、どこまで頼っていいのか。

 「社畜になるか、ノマドになるか」といった二項対立は、普通の人にとってはあまり現実的ではない。組織との付き合い方にももっと絶妙の均衡点があるはずだと僕は思っていた。

 僕は今、勤務先から給料を貰っていて、これがないと生活は難しい。そして、給料を得るためには、勤務先で成果を挙げなければならない。だから、「給料」と「働く環境」の2つは、会社に頼っている。この2つは、自力で確保するのはハードルが高い。

 但し、この2つ以外は、会社に頼らなくなった。

 私見では、ビジネスパーソンは、「給料」と「働く環境」以外、会社にはなるべく頼らない方がいいと思っている。キャリアであれ、職務遂行能力であれ、英語力であれ、会社はそんな面倒を見る義務はないし、会社に頼れる時代でもないのだ。

 例えば、職務遂行に必要な能力の習得。会社で平日に研修などが用意されれば、それを活用すれば良いと思うが、そういう恵まれた環境にある人は多くない。仕事で必要な能力は、休日に身銭を切って、自力で身につけるのが基本だと思う。

 英語もそうで、会社が英会話教室のような機会を用意したりすることは、あまりない。英語を使いこなせないことで不利益を被るのは自分自身だし、「会社で英語を教わらなかった」などと責任転嫁しても、見苦しいだけだ。

 キャリアについても、会社から与えられた仕事をこなすだけでは、十分に腕が磨けず、市場で通用しなくなるリスクがある。時々、仕事の負荷を低くすることが「部下への思いやり」だと勘違いするマネジャーもいる。

 終身雇用も退職金も、あくまで慣例でしかない。だから、住宅ローンを組んでマイホームを購入するのは止めた方がいいと思う。

 住宅ローンで家を買った瞬間に、僻地に転勤になるかもしれないし、解雇されるかもしれない。退職金もないかもしれない。ひとつ言えるのは、給料と働く環境以外のことで、会社に頼る方が悪いということだ。

 給料と働く環境さえあれば、後は自分の実力次第だ。仕事での貢献度が高ければ、次々と依頼が舞い込み、腕が磨けるし、キャリアも築ける。海外赴任のチャンスも回って来るかもしれない。これらは受身の姿勢で待っていても、恵まれた人以外にはやってこない。

 だから、「給料」と「働く環境」のみ会社に頼る。今の僕にとっては、ここが丁度いいポイントだと感じる。

 山田宏哉記

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 2011.9.27 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ