ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3064)

 なぜ、あのマネジャーは部下を潰すのか

 世の中には、「部下を潰すマネジャー」なるものが存在する。

 若手のビジネスパーソンにとっては、「どのような上司の下では働いてはいけないか」を知っておくのはとても重要だ。特に、実務の世界に入って間もない新社会人にとっては、これが死活問題になる。

 見抜くポイントはいくつかある。

 非常にわかりやすいところでは、「部下の提案を歓迎しない」と「睡眠不足を自慢する」という2点がある。

 この2つのどちらかを満たしている上司の下では働かない方がいいし、2点とも当てはまるなら、自ら異動願を出した方がいいくらいだ。

 その理由を説明しよう。

 優れたマネジャーは部下の提案内容よりも、提案する姿勢そのものを評価する。提案を採用しても、不採用に終わっても、部下に労いの言葉をかける。

 なぜなら、優れたマネジャーは部下の仕事への意欲こそが最も大切だと考えているからだ。

 一方、部下を潰すマネジャーはそうではない。「提案するなら、やることをやってからにしろ」とか「推測でものを言うのは無責任だ」とか「混乱を招いて収集がつかなくなる」とか、まず提案する姿勢そのものを否定する。

 部下の提案を歓迎しないマネジャーは、無意識に部下を思考不要のマニュアルレイバー(単純労働者)にしようとしている。理由はハッキリしている。

 そのマネジャー自身が、仕事の価値を考えないマニュアルレイバーだからだ。だから、部下をマニュアルレイバーに押し留めて、自らのポジションを脅かすことがないようにしているのだ。

 上記とも関連するが、睡眠不足を自慢するマネジャーも、マネジャーの器ではない。

 睡眠不足の状態でもできる仕事は、たいして価値のある仕事ではない。それはつまり、マネジャーとしての判断や意志決定ができていない、ということだ。

 睡眠不足で乗り切れるのは、あくまで「単純作業」であり、例えば企画提案の質は確実に下がる。

 よくよく注意してみると、慢性的に睡眠不足のマネジャーは、職務に反して「単純作業」しかしていない。誤字脱字等の形式チェックはできても、大抵、内容の妥当性の判断はできていない。

 睡眠不足のマネジャーは大抵、脳が複雑な思考に耐えられないため、仕事を単純化して考える。要するに、自ら進んでマニュアルレイバーとなり、しかも自分のことを「不眠不休で仕事をする優秀な人間」と勘違いする。しかも部下に、自分の流儀を押し付ける。

 慢性的に睡眠不足のマネジャーにとっては、仕事は「こなす」ものであり、「仕掛ける」ものではない。

 組織内の地位は高くても、所詮は「お偉いさん」に言われたことをやるだけの単純労働者に過ぎない。市場価値はせいぜい年収2万ドルだ。そんなマネジャーの下で働いても、きっと「負けるための教訓」しか教えてもらえないだろう。

 いずれにせよ、ビジネスパーソンの方は、試しに上司に何か提案をしてみよう。見るべきポイントはただひとつ。あなたの上司は「提案する姿勢」をどう評価するか。

 それはマネジャーの器を計るリトマス試験紙でもあるのだ。

 山田宏哉記

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 2011.11.3 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ