ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3067)

 職場酒は「上下関係を確認するイベント」である

 佐々木俊尚さんが「お酌」に関するツイートをしているのを見て、色々と思うところがあった。

 僕は気の合う職場の仲間とお酒を飲むのは好きだけれども、半強制参加の宴会(僕はこれを"職場酒"と呼ぶ)はあまり好きではない。

 これまでは、自分でもその理由がよくわからなかった。しかし、職場酒の裏の目的に気付いたので、その疑問は氷解した。

 職場酒の裏の目的は「上下関係の確認」(建前はコミュニケーションの活性化)にある。若手のビジネスパーソンは、この点を肝に銘じた方がよい。

 例えば、職場で新入社員の歓迎会が行われるとする。表の題目は「入社を祝う」みたいなことだけど、裏の目的は新人に「お前たちは一番下っ端だぞ」という意識を植え付けることだ。

 だから、仕事のパフォーマンスが微妙な社員ほど「新人を歓迎しなきゃ!」などと鼻息を荒くしたりする。そして、先輩面して説教を始めたりする。

 私見では、中高年でも見識があって、価値の高い仕事をしている方は「お酌がどうこう」みたいな話はしない。逆に、見識や仕事の成果に疑問符がつく人ほど、「酒の席の常識」にこだわるような印象がある。

 僕は、職場の人間関係は職場で完結させるべきだと思う。少なくとも、酒の席に仕事の上下関係を持ち込むのは反則だと考えている。

 もちろん、気の合う仲間とならば勤務内外を問わず色々したいが、単なる「上下関係を確認するイベント」への参加は遠慮したい。

 優秀な若手の感覚からすると「なんで自分のカネと時間を使って、『会社の上下関係を確認するイベント』に参加せにゃならんのだ。」と思うことだろう。これは尤もな話で、内心、職場酒が嫌いな若者は多い(公然と言う人はあまりいないが)。

 今更気付いたけれども、僕が「謙虚さが足りない」と言われていた理由のひとつは、「酒の席での常識」にあまり忠実ではなかったからだと思う。

 日本企業で上司に恵まれない場合、酒の席でのお酌の仕方みたいなものが、人事査定の対象になってしまう。

 僕自身は、職場酒が「上下関係を確認するイベント」だと明確に認識していなかったので、ずっと妙なモヤモヤ感と後味の悪さを抱えていた。

 新人の頃から、端から職場酒は「上下関係を確認するイベント」だと割り切って参加していればよかったと思う。そうすれば、つまらないことで気をもむ必要もなかったのだ。

 山田宏哉記

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 2011.11.9 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ