ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3077)

 私の体験的時間術

 実生活で、時間に関して下記のような趣旨の話をした。

 「仕事で時間を節約するには、仕事の目的をよく考えるのが一番の近道。目的がわからないままに作業をするのでは、応用が効かないし、自分なりの改善もできない。」

 「学生の頃は、お金がなくて時間があった。社会人になって、お金はある程度あるけど時間がなくなった。だから、携帯電話の回線料金とか、細かいことを気にするのは、時間がもったいないと思うようになった。」

 今の僕にとって、時間は何より貴重な財産だ。だからこそ、なるべく有効活用するように心掛けている。

 ところが、巷で建前として語られる「時間術」や「タイムマネジメント」の話には、核心部分への言及が抜けている。

 例えば「残業があるので、早く帰ることができない」という悩みは、現実には「他人から白い目で見られたくない」という感情とセットである場合が多い。

 根本的な解決方法は「チームで最も優れた成果を出すこと」だと僕は思う。そうすれば、帰宅するのにいちいち他人の視線を気にする必要もない。

 私の持論だが、要するに「仕事があるから帰れない」という人は後ろめたいのだ。報酬以下の仕事しかしていないことが。

 だからこそ、ダラダラと残って「仕事をしている振り」をして、必死に周囲にアピールする。

 ウェットな日本企業ではそういう姿勢を評価したりするから、問題の根は深い。よくよく見ていると、普段は忙しさの演出に熱心な人でも、上司が早めに帰るとサッサと帰ったりする。

 要するにビジネスパーソンにとって「定時に帰る方法」とは、すなわち「人一倍の成果を出すこと」に他ならない。そうすれば、毎日定時で帰ろうが、誰も文句は言わないし、言えない。

 これ以外の「エクセルの操作テクニックを覚えて業務効率改善」みたいな話は、実は瑣末なことなのだ。

 もちろん、効率的な時間の使い方を心掛けるのは重要だが、それ以上にモノを言うのは「圧倒的な成果を出すこと」だ。成果を出せば出すほど、裁量の余地は増えるし、時間も自由に使えるようになる。

 帰宅する際に、仮に他人の視線が気になるようなら、反省すべきは「時間の使い方」ではなく、「自分は報酬以上の成果を出しているか」という点だ。

 ついでに言うと、ウェブ上で実名で好き勝手なことを言うためにも、本業では人一倍の成果を出した方が望ましい。そうでないと、人事部から「監視対象」にされたりする。一方、本業で圧倒的な成果を出していれば、「治外法権」状態になる。

 (個人的には、ビジネスパーソンにとって、ツイッターで実名を使うか否かの損益分岐点は「人一倍の成果を出しているか、否か」だと思う。その自信があれば、実名の方がむしろメリットが大きいが、そうでなければ職場の仲間に陰口を叩かれたりする可能性の方が高い)

 「時間の無駄」と言えば、義理で参加する飲み会やその2次会、3次会もそうだ。僕は、気が進まない飲み会の類は原則断るし、2次会、3次会も基本的に参加しないことにしている。

 もっとも、こういう態度を取るのは、他人にはあまり勧めない。他人の視線を気にすることなく、こういう態度を取るためには、やはり人一倍の成果を出すことが必要になるからだ。

 ビジネスの場面に限定すれば、「仕事さえできればいいと思っているのか」という問には、僕は「イエス」と答えたい。

 山田宏哉記

【関連記事】
藤本篤志(著)『社畜のススメ』覚書(2011.11.28)
"コミュニケーション能力"の落とし穴(2011.11.27)
長時間労働の落とし穴(2011.11.23)
"前例踏襲"に立ち向かい、"実績"をつくる(2011.11.19)
辛さを美化する愚(2011.11.16)
制約の中の決断(2011.11.13)
山本直人(著)『電通とリクルート』覚書(2011.11.6)
認められる努力は無駄である(2011.11.3)
なぜ、あのマネジャーは部下を潰すのか(2011.11.3)
"顧客への貢献"か、"長幼の序"か(2011.10.29)
評価という試練(2011.10.18)
人間固有の能力、動物としての強さ(2011.10.16)
瀧本哲史(著)『武器としての決断思考』覚書(2011.10.15)
増田不三雄(著)『社内失業』覚書(2011.10.9)
瀧本哲史(著)『僕は君たちに武器を配りたい』覚書(2011.10.5)
会社に頼ること、頼らないこと(2011.9.27)
成果主義と能力主義は違う(2011.9.25)
仕事を作る側、作業をこなす側(2011.9.19)
情報共有の落とし穴(2011.9.6)
なぜ、カリスマ・リーダーは人を育てられないのか(2011.9.4)
日本企業で働く希望 (2011.8.29)
なぜ、真面目な人は成果を出せないのか(2011.7.25)
安宅和人(著)『イシューからはじめよ』覚書(2011.1.1)

Tweet @HiroyaYamadaをフォロー

 2011.11.28 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ