ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3079)

 「強さ、鋭さ、温かさ」の人材論

 近頃、求められる人材像が「平均型」から「一点突破型」に変わったという趣旨のことが言われたりする。少し前には「ゼネラリストからスペシャリストへ」と言われていた。

 この種の話には、ずっと違和感を感じてきた。

 僕は、ビジネスの現場で活躍できる人材像は、昔から根本では変わっていないと思う。
 体験的に言えば、ビジネスの場で評価が高いのは「強さ、鋭さ、温かさ」の総合点が高い人だ。

 肝になるのは、業種や職種によって3つの要素は、"傾斜配点"されていることと、「鋭さ」と「温かさ」は相性が悪く、兼ね備えた人はあまりいないことだ。

 「強さ」とは具体的には、ストレス耐性や基礎体力などを指している。ビジネスの勝敗は案外、体調と感情のコントロールの部分で決することが多い。

 闘争的な環境では、「強さ」がモノを言う。軍人、警官、アスリートなどの職種は特に「強さ」に傾斜配点されている。

 「鋭さ」とは具体的には、「頭の回転の速さ」や「閃き」を指している。職種で言えば、研究者や芸術家などの職種は特に「鋭さ」に傾斜配点されている。

 「温かさ」とは具体的には、「感情の豊かさ」や「思いやり」を指している。職種で言えば、サービス業全般は「温かさ」に傾斜配点されている。

 単純だが、僕は仕事を選ぶ際の自己分析は「強さ、鋭さ、温かさ」に照らせばいいと思う。職種も「強さ、鋭さ、温かさ」を軸に分析し、自分に合ったものを選べばいい。

 個人のキャリア戦略としては、兼ね備えるのが難しい以上、早い段階で「鋭さ」で勝負するか、「温かさ」で勝負するか、決める方が得策だと思う。そして、「強くて、頭がいい人」か「強くて、優しい人」のどちらかを目指す。

 私見では、昔から「可もなく不可もない人」など、実はどうでもいい存在だったのだ。但し、そういう人でも会社の席に座っていれば、自動的に給料が支払われた。今はその余裕がなくなったので、一見「求められる人材像」が変わったように見えるだけだと思う。

 強さ、鋭さ、温かさ。成果の高い低いを分かつ要素は、さして昔から変わっていないのだ。

 山田宏哉記

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 2011.11.28 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ