ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3080)

 "消えない汚点"を抱いて生きる

 昨日、ある方から「お前はバカだ。勉強不足だ。懲罰を受けた(キャリアを棒に振った)自覚はあるのか。みんな言わないだけだ」と今更のように言われた。僕は「その自覚はあります」と答えた。

 この半年間の僕の成果を知って言っていたのか、知らずに言っていたのかは不明だ。

 この半年間、自分では圧倒的な成果を出してきたつもりだし、マネジャーからは高い評価もいただいた。

 それでも、過去の「汚点」が消えるわけではないと、改めて強く思った。

 僕は今でも、この汚点は僕の責任ではなかったと思っている。仕事に関しては、大抵のことは自分の責任として受け止めてきたが、やはりこれは濡れ衣だった。

 しかし、「山田の責任。山田の資質が悪い」と吹聴され、現に僕は処罰を受け、吹聴された内容をそのまま受け取っている人がいる以上、やはり自分の汚点として引き受けなければならない。

 でも、僕みたいな人間にとっては消えない汚点は、「いい薬」だったと思う。そうでないと、傲慢で自信過剰になってしまう。

 懲罰後に僕がすることになった仕事は、陰で馬鹿にされて、笑われたものだ。そういえば、普通の人が「罰」としてやることだった。悔しかったなぁ。「情けない」と言われればその通りだが、それでも僕は組織にしがみついた。

 社会人になって以来、毎日16時間を仕事と勉強につぎ込んできて、この様だった。

 悔しくて僕は、毎週末、福島で震災ボランティアをすることに決めたのだった。人一倍の努力をして、人並み以下の評価しか得られないのでは、まさに無能としか言いようがなかった。

 日本社会は過去に汚点を持つ人間に厳しい。犯罪者が現実には社会復帰できないように。

 だから、"消えない汚点"を持つ人間としては、過去の汚点を相殺するだけの圧倒的な成果を出すしかない。

 濡れ衣を背負って、懲罰を受けてキャリアを棒に振って、またそこから這い上がったからこそ、今の僕がいる。

 思えば、これは精神を成熟させるために必要な経験だった気がする。

 今では、例えば組織の問題や自分マネジメント能力の不足を「(気に入らない)部下の資質のせい」にするのは、ごく普通の「常識ある大人」の態度だと思う。

 人間、いざとなれば保身のための職権や人事権を濫用して、より立場の弱い人間に責任を押し付けるものだ。

 でも僕は、自分がその被害を受けても尚、他人のそういう態度を許せるようになった(自分では絶対にしないが)。

 払った代償は大きく、これからも"消えない汚点"に苦しむのだろうけど、それで構わない。

 「お前はバカだ。勉強不足だ。懲罰を受けた自覚はあるのか。みんな言わないだけだ」か。

 ありがとうございます。今の僕に最も必要な言葉でした。

 山田宏哉記

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 2011.12.10 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ