ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3084)

 "就活イベント"のビジネスモデル

 先日、パシフィコ横浜で大手就活ポータルサイトが主催する就活イベントが行われていた。

 本来、僕には関係のないイベントではあるが、出展企業と出展形式を見て、就活イベントのビジネスモデルに気付いて、思わず笑ってしまった。

 会場にはリクルートスーツを着た就活生らしき人たちが集まってきていた。彼らは髪型や服装のことには気を使っていたように見えるけれども、もっと肝心なことに気付いていないように思えた。

 当然ながら、パシフィコ横浜の会場を貸し切りで押さえるためには、高額の費用がかかる。この金は誰が負担するのか。それを考えれば、就活イベントの本質がわかる。

 この就活イベントでは大手の人気企業が短時間の「講演」で参加する一方、微妙な企業は終日「ブース」で出展していた。要するに大手人気企業を「客寄せパンダ」にする一方、採用する気があるのは「微妙な企業」という構図がそこにはあった。

 僕が就活イベントを企画するなら、大手人気企業の人事担当者にはお金を払って講演を依頼し、不人気の「微妙な企業」からは高額の出展料を頂くことでビジネスにする。当然、就活生には「あの人気企業が参加」とアピールする。

 要するに就活イベントとは「大手人気企業を客寄せパンダに使って就活生を動員し、高額の出展料を払った微妙な企業が優秀な学生を獲得するためのイベント」なのである。

 また企業側の視点から見ると、土曜日の就活イベントに終日ブースを構えて参加するのは、結構、負担が大きい。若手社員をイベント対応で動員するなら、出展料だけでなく、休日出勤のために割増賃金も支払わなければならない。

 だから、応募者に恵まれている企業は、わざわざ若手社員を動員して、土曜日の就活イベントに出展したりはしない。

 就活イベントに参加するなら、それを承知で参加するべきで、この構造を見抜けない就活生は既に負けている。

 ついでに就活ポータルサイトについても一言言っておくと、これは企業によって媒体掲載料が違う。大手人気企業は無料同然の一方で、自力では応募者を集められない企業からは高額の掲載料を取っている。だからこそ、ビジネスとして成立している。

 だから、就活の"仲介業者"に高額の掲載料を払うのがバカらしいと判断する企業は、就活ポータルサイトに自社の求人情報を掲載しない。これを知らずに、就活ポータルサイトの求人情報を元に、応募する企業を決めている就活生は、"情報弱者"そのものと言える

 なぜ、就活ポータルサイトや就活イベントが無料なのか。本当に、利用する必要があるのか。この辺りのことを、もっとよく考えた方がいいと思う。

 「誰が何のためにカネを払っているのか」にもっと敏感になった方がいい。何より、この習慣は、ビジネスパーソンとしても非常に役に立つものだ。

 以上、就活イベントに群がる就活生たちが、あまりに気の毒だったので、お節介にも助言させていただいた。

 山田宏哉記

【関連記事】
なぜ、あの人は"お荷物"なのか(2011.12.16)
目の前にある仕事論(2011.12.15)
「強さ、鋭さ、温かさ」のキャリア戦略(2011.12.12)
"消えない汚点"を抱いて生きる(2011.12.10)
「強さ、鋭さ、温かさ」の人材論(2011.12.7)
私の体験的時間術(2011.12.4)
藤本篤志(著)『社畜のススメ』覚書(2011.11.28)
"コミュニケーション能力"の落とし穴(2011.11.27)
長時間労働の落とし穴(2011.11.23)
"前例踏襲"に立ち向かい、"実績"をつくる(2011.11.19)
辛さを美化する愚(2011.11.16)
制約の中の決断(2011.11.13)
山本直人(著)『電通とリクルート』覚書(2011.11.6)
認められる努力は無駄である(2011.11.3)
なぜ、あのマネジャーは部下を潰すのか(2011.11.3)
"顧客への貢献"か、"長幼の序"か(2011.10.29)
評価という試練(2011.10.18)
人間固有の能力、動物としての強さ(2011.10.16)
瀧本哲史(著)『武器としての決断思考』覚書(2011.10.15)
増田不三雄(著)『社内失業』覚書(2011.10.9)
瀧本哲史(著)『僕は君たちに武器を配りたい』覚書(2011.10.5)
会社に頼ること、頼らないこと(2011.9.27)
成果主義と能力主義は違う(2011.9.25)
仕事を作る側、作業をこなす側(2011.9.19)
情報共有の落とし穴(2011.9.6)
なぜ、カリスマ・リーダーは人を育てられないのか(2011.9.4)
日本企業で働く希望 (2011.8.29)
なぜ、真面目な人は成果を出せないのか(2011.7.25)
安宅和人(著)『イシューからはじめよ』覚書(2011.1.1)

Tweet @HiroyaYamadaをフォロー

 2011.12.18 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ