ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3085)

 酒井穣(著)『ご機嫌な職場』覚書

 酒井穣(著)『ご機嫌な職場』を読了した。思い当たる節が多く、色々と振り返りながら読んだ。

 最大の収穫は「何を知っているかより、誰を知っているかが重要な世の中に向かっている」という趣旨の指摘だった。

 さて、職場の雰囲気を良くするためには「コミュニケーションの活性化」が重要だと、よく言われる。その背景には「コミュニケーション不足」があると考えられている。

 では、「コミュニケーション」とは具体的にはどのようなことを指しているのか。

 仕事をするために必要な情報のやり取りが円滑に行われることなのか、上司と部下がお互いのことを理解するために居酒屋に飲みに行ったりすることなのか。一口にコミュニケーションと言っても、その意味するところは人によってかなり差がある。

 本書ではコミュニケーションを大きく2つに分けて、「道具としてのコミュニケーション」と「目的としてのコミュニケーション(非公式コミュニケーション)」に分けて考えている。前者は目標達成に必要な情報のやり取りで、後者はコミュニケーションそのものが目的のものだ。

 僕が「コミュニケーション不足」という時は、主として前者を指している。つまり、「職務遂行に必要な(有益な)情報の流れが滞っていること」を意味している。

 後者の「目的としてのコミュニケーション」については、「どうでもいい」とまでは言わないが、本筋からは外れたことだと考えている。もともと組織に「仲良しクラブ」的なものは期待していない。

 但し、本書のスタンスは「職場コミュニティ」の再構築のために、「目的としてのコミュニケーション(非公式コミュニケーション)が求められている」というものだったので、少し考えさせられた。

 確かに、非公式なコミュニケーションも活発な方が、公式なコミュニケーションも円滑になるような気がする。

 そしてふと、僕が職場に非公式なコミュニケーションを求めない背景には、既にウェブで承認を受けていることがあると気付かされた。

 ウェブの記事であれば、基本的に僕がアイディアや執筆から掲載に至るまで、その全工程を基本的に1人で手がけている。

 そのアウトプットが高く評価される充実感は、組織で働いて成果を出したときの達成感とは、少し種類が違う。

 そこに優劣があるわけではないけど、個人的な充足感は既にウェブでの承認によって得ているので、組織へのコミットメントは「成果を出して、報酬を得る」という面に偏っているように思う。

 僕は、職場の仲間と仕事と関係のない運動会をやるより、ウェブに記事の一本でも書いた方が、世の中に貢献できると思っているし、個人的な満足感も高い。

 それでも今後はなるべく、職場の仲間との「目的としてのコミュニケーション(非公式コミュニケーション)」にも力を入れていきたいと思った。

 山田宏哉記

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 2011.12.18 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ