ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (3092)

 プレイボーイはビジネスの強者か?

 アダム徳永(著)『出世する男はなぜセックスが上手いのか?』(幻冬舎新書)を読んだ(購入にかなりの"勇気"が必要だった)。

 「英雄、色を好む」の通り、確かにビジネスと共通する部分は多いような気はする。

 読んでふと、有名出版社に就職した大学の先輩がプレイボーイだったことを思い出した。大手TV局と大手新聞社から内定を貰っていた後輩の女子学生も下ネタ好きでプレイガールの感があった。

 身も蓋もない話だが、学生時代、就職に必要なコミュニケーション能力を磨くには、真面目に授業に出席するより、プレイボーイ、プレイガールとして「火遊び」をした方が、たぶん効果が高い。

 格闘漫画の『バキ』には、少年漫画とは思えないストーリー展開がある。主人公の刃牙(バキ)が、ヒロインの女性を抱くことで「セックスと格闘技は似ている。格闘技は相手の嫌がることをする。セックスはその逆!」という"気付き"を得て、劇的に強くなるというものだ。

 少年漫画の定石で言えば、強くなるのは「厳しいトレーニング」の賜物で、「女性を抱いて強くなった」という筋書きは、邪道そのものだ。

 でも僕は案外、世の中や人生の重要な一側面を突いている、と思う。

 僕自身は図書館にこもるような学生生活だったけど、今、学生時代をプレイボーイやプレイガールとして謳歌した人たちに負けている実感はある(冬のボーナス支給額が、社会人1年目の妹と同額で、その思いが更に強くなった)。

 アダム徳永氏も「性的な劣等感だけは他では代替不能」であるが故に「セックスの自信は男の人生を左右する」という趣旨の主張をしている。これを公然と言うのは非常識ではあるが、たぶん一定の真理は突いている。

 個人的には「男/女として認められている」という実感がないと、どうも最後のところで自分に自信を持ち切れないような気はする(別に自分に自信を持たなくてもいいでしょうが)。

 あるいは、「人懐っこさ」はビジネスシーンで大きな力を発揮するが、これは案外、例えば恋人とじゃれあっていれば、割と容易に習得できる性格のような気がする(人懐っこさの本質はたぶん「愛情のお裾分け」なのだ)。

 こういう機微な部分は、日々の仕事をする上でも、どうしても出てしまう。当然、パフォーマンスにも影響を及ぼす。

 異性からの承認を得られない男が、自分の全存在を否定されたように感じるのは、たぶん本能的なものだと思う。これは理性が通用する領域ではない。
 
 もっとも、人間以外の動物の世界では、雌に選ばれなかった雄は完全な負け組になる。人間世界はここまで露骨ではないけど、きっと人間の男の中にもそういう遺伝子が流れているのだ。

 ビジネスであれ、男女関係であれ、どちらも"生存競争"と言えば、その通りだ。プレイボーイ、プレイガールがビジネスの強者でもあることは、ごく当たり前のことなのかもしれない。

 山田宏哉記

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 2012.1.1 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ