ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3113)

 「異性のパートナー選び」に活かすマーケティング

 全くの個人的なアイディアだが、僕はマーケティングの素朴な起源は、「異性のパートナー探し」にあるのではないかと思う。「異性を各種条件でフィルタリングする」というのは、身に覚えのある人も多いだろう。

 真偽はさておき、ビジネスの分野だけでなく、「異性のパートナー探し」においても、マーケティングの素養が役に立つのは事実だ。

 今でこそ、マーケティングはビジネスの基本として定着している。その割にマーケティングの重要性を理解している人は、ビジネスパーソンに限らず、多くない。

 男女関係に即して言えば、異性に具体的なアプローチをかける段階は、いわば「営業活動」であって、マーケティングはこれより前の工程にある。巷では「営業活動」以降を男女の機微の問題として扱うが、これは大きな誤りだ。

 就職活動で、マーケティングに相当する社会構造の変化、業界動向、志望職種の将来性の把握をキチンとせずに、「筆記試験の突破」とか「面接の突破」にばかり焦点を合わせると、進路を大きく誤る。日々の仕事や男女関係にも、これと同じことが言える。

 多くの人は、学校のクラスメートや職場の仲間など、「半径5メートルの世界」の中から、異性のパートナーを選んでいる。つまり、「偶然」の占める比重が非常に高い。言葉を換えれば、営業活動はしているが、マーケティングをしていない。

 果たして、これでいいのだろうか。

 もちろん、男女の機微はそもそも理性的なものではないし、偶然やタイミングの比重が大きいのは仕方ないが、戦略が全くなく、「すべて運任せ」というのはどうなのだろうか。

 尤も、マーケティング的に補足すると、成績優秀者が集う学校や、潜在能力が高い人材が集う企業であれば、そのメンバーになる段階で、強烈なフィルタリング(選別)がかけられている。従って、「半径5メートルの世界」から異性のパートナーを選んでも、「大外れ」の可能性は低いだろう。

 要注意なのは、自分の第一志望が通らず、第二志望以下の大学や企業に不本意で入学/入社した場合だ。こんな時、「半径5メートルの世界」から異性のパートナーを選ぶのは実はリスクが高い。そこが本来、「自分にとって不本意な文化圏」であることをよく考慮する必要がある。

 また、異性のパートナー選びにおいては「自分の強み」と「相手に期待するもの」を明確にした方が、優位な展開に持ち込める。実はリソースを割いて営業活動すべきなのは「自分の強みを必要とする」かつ「自分が期待するものを提供してくれる」異性だけだ。

 異性のパートナー選びにおいてするべき「努力」とは、具体的には「自分の強みを伸ばす」ことと、「自分と相性のいい異性を見つけ出し、上手く営業活動をする」ことの2つを差している。

 尚、この中でも最も難しく、かつ肝になるのは「自分と相性のいい異性を見つけ出す」という部分になる。いわゆる「出会いがない」という状態だ。ここは試行錯誤を繰り返して、自分なりにやるしかない。

 但し、一般論として以下のことは言える。

 いわゆる「合コン」についていえば、「自分は合コンに来るタイプの異性(体育会系の比率が高い)が好きなのか?」で自ずと答えは出る。答えが「ノー」なら、無理して行くのはリソースの無駄遣いだ。

 これは「出会い喫茶」や「出会い系サイト」についても同じことが言える。

 「友達の紹介」というのは、どうだろうか。これは「半径5メートルの世界」に毛が生えた程度だろう。この場合、肝になるのは「友人の資質」で、ある程度、友人を値踏みせざるを得ない。友情に傷がつく可能性があることを覚悟する必要はある。

 このように「自分と相性のいい異性を見つけ出す」という部分は難易度が高く、かつ面倒臭い。多くの場合、「運任せ」にして、恋愛対象は「半径5メートルの世界」に限定される。そして、人はそれを「運命の出会い」と呼ぶのだ。

 いずれにせよ、マーケティングの素養があると、本業での年収アップだけでなく、「異性のパートナー選び」においても、良い影響が期待できると思う。

 山田宏哉記

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