ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3116)

 "人間関係のシャッフル"を考える 

 NHKスペシャル「ヒューマン なぜ人間になれたのか」(2012年1月29日放送)で、「生来の脳の性能では、人間集団は150人が限界」という趣旨の説明があった。

 確かに、生活実感が伴う「周囲の人」とは、おそらく150人くらいまでだと思う。実際、人間の脳の性能と、時間の制約から、知人レベルでの付き合いができるのは、同時に150人くらいまでだと思う。

 家族や親戚、恋人や親友レベルの「コアな人間関係」は、おそらく20人以内。となると、残された友人・知人枠は130人程度。この130人の部分には、一定の「循環」が必要な気はする。

 学校で言えばクラス替え、企業で言えば人事異動は強権的なシャッフルだが、「人間関係の固定化」を避けるためには、なかなかいい装置だと思う。

 日本では、小学校、中学校、高校、大学が6年、3年、3年、4年ごとに区切られていて、更に1年ごとに「クラス替え」が組み込まれている。

 これを人間関係の視点から見ると、1年ごとに小規模なシャッフル(クラス替え)が起こり、数年単位で大規模なシャッフル(学校変更)が起きている。

 SNSを使えば、同時に150人以上の人と交流することができるかもしれないが、おそらくとても疲れるだろう。なぜなら、これは生来の脳の性能を超えた処理だからだ。

 知人レベルの付き合いの人は、毎年シャッフルして、数年に一度は大規模なシャッフルをした方がいいのかもしれない。

 「自分探しのために海外放浪」というケースにおいても、「これまでの人間関係を一旦リセットする」という意味が含まれていると思う。

 むしろ本当に大切なのは「コアな人間関係の20人を大切にする」という部分だと思う。家族、恋人、親友、直接的な仕事仲間。おそらくこれで20人のキャパは埋まってしまう。まずはこの20人を大切にすれば、更に周囲の130人にも良い影響が広がるだろう。

 一旦、周囲の150人から外れたとしても、また復活する可能性もある。

 更に言うと、もちろん150人の外側がいきなり「日本国民一般」とか「人類一般」になるわけではない。

 例えば、自分の読者に対しては、それ以外の人と同じ態度で接することはない。勤務先が同じ人に関しては、それだけでそれなりに大切にはする。この辺りは、明確に線引きと温度差がある。

 結局のところ、人間関係についてはおそらく「日常的に接する150人(特にコアな関係の20人)を大切にすれば良い」のだと思う。そして友人知人枠の130人は、定期的に循環するようにする。

 人間関係に対してあまり積極的ではない人は、これくらいのゆるい戦略を取るのがオススメだ。

 山田宏哉記

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