ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3127)

 組織を動かす人になる

 組織では色々な人が、色々な事情で働いている。仕事の負荷もポジションによって大きく異なる。仕事優先でバリバリ働きたい人にも、家庭優先で働きたい人にも、各人のニーズにあったポジションがある。

 このように選択肢があるのは、組織で働くメリットだと思う。

 組織で積極的に働くつもりなら、いわば「自分の城」があると、非常に仕事がしやすくなる。自分の裁量で自由に動かせる仕事で、なおかつ組織の中で自分ひとりにしかできない領域のことだ。

 「担当業務」と「自分の城」の違いは何か。「担当業務」は引継ぎや代替が可能だ。誰がやってもある程度回せるように仕事が標準化されている。一方、「自分の城」は前人未到の分野にあるため、継続的に良いアイディアを出し、実行できないと難しい。

 「自分の城」の稼働状況は自由に調整できる。仕事がなくなることはないし、チームが忙しい時には仲間の支援に入ることもできる。

 人並み以上に勉強し、誰にも負けない中核技能と大抵の人には負けない競争優位の技能を複合して展開すれば、組織の中でも「自分の城」を築けると僕は思う。

 「自分の城」を築いたら、次は「組織を動かす」ことを考えたい。組織におけるキーパーソンとは、「目標達成のために、上司や組織を動かす人」ではないかと僕は思っている。

 営業職を例にとれば、顧客にとって付き合う価値がある営業マンとは、「顧客のために、自分の上司や自社の技術部門や生産部門を動かせる人」なのだと思う。だから、営業マンにとっては社内での影響力が非常に重要になる。

 顧客にしてみれば「上司に言われたので来ました」みたいな営業マンに用はない。

 ビジネスパーソンにとって最も重要な能力は、「影響力」のように思う。影響力が強ければ、上司や組織を動かし、顧客や仕事そのものを作ることができる。

 しかし、残念ながら、多くの人は「目標達成のために、上司や組織に動かされる人」の次元にとどまる。この手のタイプの人が組織で働いても、あまり自由はない。

 「組織を動かす人」と「組織に動かされる人」。一見、些細な違いだが、両者の違いはとてつもなく大きい。

 自分のこととは言わないが、圧倒的な技能と実績があり、影響力を持っていれば、組織の中でも割と自由に働くことができるのだ。

 山田宏哉記

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2012.4.15 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ