ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3136)

 競争優位としての"集中力"

 そもそも社会のシステムは「集中力を発揮する人」が勝ち残るように設計されている。

 振り返れば、部活動の大会であったり、受験本番であったり、異性への告白であったり、就職の面接であったり、仕事の修羅場であったり、人生の節目には"決定的場面"があるものだ。

 人生を左右する"決定的場面"で成功するか、失敗するかの差は大きい。"決定的場面"で失敗すると、挽回するのには非常に手間がかかる。中には取り返しのつかないものもある。

 それでは、人生を左右する"決定的場面"で勝ち残るために最も必要な条件は何か。僕は、"集中力"に他ならない、と思う。

 スポーツの大会であれ、受験であれ、必要となる練習や勉強の時間と比べると、"本番"の時間は呆気ないほどに短い。膨大な練習や勉強を重ね、その成果をどれだけ本番で発揮できるか、が勝負になる。

 俗に「本番に強い」「本番に弱い」と言われるが、僕はこの差は集中力によるものだと考えている。

 振り返ると、僕は比較的本番に強かった。嫌味に聞こえたら恐縮だが、受験や就職といった人生を左右する"決定的場面"では、自分の希望を通すことができた。だから僕は、自分でも「集中力が割と高い」と思っている。

 世の中を生きる上で、「集中力がある」「集中力が発揮できる」のは、とても大きな武器になる。僕は経験的にそう感じている。

 集中力は圧倒的な成果を生み出すための絶対条件であり、競争は「集中できる環境作り」の部分から始まっているのだ。

 ところで、「職場では集中できない」という声を割と耳にする。僕はこういう人は、もっと危機意識を持った方がいいと思っている。

 スポーツの大会や受験本番で、敗者が「集中できなかった」と言ったらどうだろうか。「自業自得、それは実力不足だ」という反応が普通だろう。ところが何故か「職場で集中できない」という言い分ならば通ると思っている人がいるようだ。

 甘い。そんな言い訳は通用しない。

 「職場で集中できない」と言う人は、大抵、顧客や上司や仕事仲間が必要とする情報や成果物を提供していない。そのために、問合せや催促が舞い込み、「職場では集中できない」という言い訳になる。これは完全に本人の実力不足が原因だ。

 しかも致命的なことに、「職場で集中できない」と言う人は、急な問合せや催促を招く原因が、自分の実力不足にあることに気付いていない。

 急な問合せや催促を防ぐために大切なのは、「必要なことを、言われる前にやる」ということだ。従って、言われるまでやらない「指示待ち人間」には急な案件が舞い込み、「職場で集中できない」という状況に陥る。

 仕事を処理するスピードも重要だ。いくら「言われる前にやる」と言っても、実務遂行のスピードが遅いと、職場のボトルネックと化し、様々な人から「あれはまだか」と催促されるようになる。こうなると、新規企画の立案どころではなくなってしまう。

 突発案件が出ないように仕事をマネジメントするのも実力のうちだ。仕事ができる人は、相手に言われる前に先手を打ち、迅速に問題解決をする。だからこそ、集中してクオリティの高い仕事をすることができる。

 結局のところ、人生の決定的場面においても、集中力を発揮できる人は勝つべくして勝ち残り、集中力を発揮できない人は負けるべくして敗れ去る。

 但し、勝者はそれを「運が良かった」と謙遜し、敗者はそれを「運が悪かった」と責任転嫁するだけの話なのだ。

山田宏哉記

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2012.5.19 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ