ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3139)

 いかに"集中力"を発揮するか

 先回、「人生の決定的場面では、"集中力"がものを言う。『職場で集中できない』などと言う人は既に負けている」という趣旨の話をした。

 おそらく集中力を発揮できる人は、普通のビジネスパーソンが1週間くらいかけてやることを、1日でやっている。普通の人が数ヶ月かけてもできないことを1週間程度で決着をつけている。

 反面、集中力に欠け、あまり成果を出していない人ほど、「頑張っている自分」「仕事で忙しい自分」の演出に熱心な気がする。そういう人が長時間残業に頼るのはたぶん、「後ろめたいから」だ。大した成果を出さずに早々と退社するのは、さすがに気が咎めるのだろう。

 もっとも、集中力が「あるか、ないか」にこだわるのはあまり生産的ではない。焦点を合わせるべきは、集中力が「発揮できるか、できないか」だ。

 私見では、集中力を発揮するにあたっては「(突発的な)意識への割り込み」を極力、抑えることが大切になる。

 例えば、集中して企画を練っている時に、電話を受けることで、意識の流れが途切れて、重要な閃きやアイディアが消し飛んでしまうことがある。極力、こういうことを減らすのが大切だ。

 反面、僕は「他者の意識への割込み」に対しても非常に気を使っている。「自分がされて嫌なことは、相手にもしない」のが原則だ。

 僕は大抵、目上の人の意志確認が必要な場合、「休憩から自席に戻ったタイミング」でまとめて決着をつける。原則、1案件15秒以内で決着をつける。しかも、「1回に複数の案件をまとめて」だ。

 僕の持論では、「相手の意識への割込み」は、相手が弛緩した時にするのが鉄則だ。タイミング次第で、提案の採否も違ってくる。「休憩から自席に戻ったタイミング」が最たるものだが、「メールを送信し終えたタイミング」や「飲み物に口をつけたタイミング」も比較的弛緩度が高い。

 「相手の意識への割込み」は、やはり同じ空間で顔を突き合わせていないと、適切なタイミングがわからない。ちなみに「相手が弛緩したタイミングで打ち込む」というのは武術と同じだ。

 尚、常識的に考えればわかるはずだが、一般に「役職が高くなるほど、時間単価も高くなり、より重要な仕事をしている」。上司からみれば、部下がしている仕事は、相対的に重要ではない。だから、あまり時間や集中力を割くわけにはいかないのだ。

 時々、「マネジャーの時間単価は高い」ことを全く気にかけない人がいて、僕は唖然としてしまう。マネジャーに向かって「○○さんがいないんですけど、どうしましょうか」みたいなバリューを生まない話を5分10分もするのは、大きな損失なのだ。

 私見では「他人の意識への割り込み」に無頓着な人は、集中力が低い。相手の意識の流れを切るようなタイミングで、長々とバリューの低い話をする。自分自身の注意力が散漫のため「他人の意識に割り込んでも、大した影響はないだろう」と勝手に思い込んでいるのだ。

 やや穿った見方をすると、「集中力が低い人」は、「集中している人」の意識に割り込み、邪魔をしたがっているように見えるときがある。「集中力が低い人」は、「集中している人」が成果を出すと、内心、穏やかではいられなくなるのかもしれない。

 身勝手さが爆発で恐縮だが、僕は内心「電話は掛けるものであって、受けるものではない」と考えている。従って、よほどのことがない限り、「折り返し電話ください」は使わない。相手が不在であれば、再度、自分にとって都合のいいタイミングで掛け直す。

 もちろん、僕から電話を掛ける場合も、相手の集中力や意識の流れを乱すリスクがある。だから、極力避けたい。そこで僕は「電話を使わなくても、間に合うように仕事のスケジュールを組む」ように心掛けている。

 "集中力"を発揮するためには、こういう細かい部分の積み重ねが大切であり、結局のところ、こういう細かい部分で勝負は決していくのだ。

山田宏哉記

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2012.5.20 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ