ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3141)

 なぜ、あの人は長時間残業をするのか

 近頃、割とスパッと職場を後にするようになった。毎日、一定以上の成果を出しているので、後ろ髪を引かれることもなくなった。

 一方、冷静に振り返ると、成果を出せなかった時期ほど残業して「頑張っている自分」を演出する必要があった。

 私見では、「残業があるので、早く帰ることができない」という悩みは、「白い目で見られたくない」という世間体とセットである場合が多い。

 あまり成果を出していない人ほど、「頑張っている自分」「仕事で忙しい自分」の演出に熱心にみえる。そういう人が残業に頼るのはおそらく「後ろめたいから」だ。大した成果を出さずに早々と退社するのは、さすがに気が咎めるのだろう。

 長時間残業をしている人の中には、何故か、長時間残業の理由をオープンにしたがらない人がいる。「何をやっているのかよくわからないけど、職場に夜遅くまで居残っている」というタイプだ。

 彼らは「色々ある」みたいな逃口上を打つ。さすがに「成果を出せなくて後ろめたいから、職場に居残っている」とは言えないだろうが、要はそういうことだ。

 「忙しい」が口癖で、長時間残業をしている人の仕事の中身を精査すると、必ずしも必要のないことをやっていたりする。社内資料を過剰に作り込んだり、同僚と重複した業務をしていたりする。自分のポジションを守るのに必死で、周囲が見えていない。

 長時間残業をする人にありがちな特徴のひとつは、難易度の低い定型業務を大量に引き受け、それで時間を潰すことだ。エクセルの関数も使えず、vlookupを使えば1分でできることに何時間もかけたりする。コピー機を使わず、手書きで模写するような愚かさだ。

 結局のところ、長時間残業を減らす根本的な解決方法は「チームで最も優れた成果を出すこと」に他ならない。これさえできれば、帰宅するのに、いちいち他人の視線を気にする必要もない。

 おそらく仕事ができる人は、普通のビジネスパーソンが1週間くらいかけてやることを、1日でやっている。普通の人が数ヶ月かけてもできないことを1週間程度で決着をつけている。本来、仕事ができる人は1日8時間も働けば充分だろう。

 長時間残業を自慢する人は、他人に対して誇れる仕事上の実績が「残業時間」しかない。だから、長時間残業が彼らのレーゾンデーテル(存在理由)になっている。

 そしてもちろん、そのことを誰より自覚しているのは、他ならぬ彼ら自身だろう。

山田宏哉記

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2012.5.26 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ