ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3150)

 優遇される人材、冷遇される人材
 
 先回、「職場を選ぶ時は、自分の実力が上位層と中間層の境界線くらいに位置する組織を狙うのが得策」という趣旨の話をした。

 当たり前のことだが、企業は優秀な人材を優遇する一方で、お荷物となる人材は冷遇する。解雇や退職勧奨ともなれば、傍目にもわかりやすい。しかし、「あなたを冷遇している」となどと明示するのは稚拙なマネジメントであり、通常はそこまで露骨ではない。

 「冷遇される人材」の特徴は、組織にとって、単なる「頭数」でしかないことだ。従って、組織の人員バランスを適正化するために、「冷遇される人材」を配置転換する。本人の希望やキャリアなど知ったことではない。更に、給料も安いので「使い回し」が効く。

 通常、「優遇される人材」については、組織が責任をもって育成計画を立て、本人の希望を充分に考慮した上で、成長の機会を用意する。一方、「冷遇される人材」については、組織の「穴埋め」に使う。育成計画なども、あくまで形だけのものとなる。

 「優遇される人材」については戦略的な人事異動が用意される一方で、「冷遇される人材」はその穴埋めのために引きずり回される。優遇される人材が着実いキャリアを積み上げる一方、冷遇される人材は場当たり的な人事異動のために、キャリアがズタズタになる。

 もちろん、その間にも両者の実力差は開く一方で、逆転するのは非常に難しくなる。

 企業人が自分の会社について語る場面に出くわしたら、その人が「優遇される人材」なのか、「冷遇される人材」なのか、冷静に見極める必要がある。「優遇される人材」ならば会社の美点が並ぶものだし、「冷遇される人材」ならば会社への不満が並ぶものだ。

 だからこそ、企業文化を判断する際には、「(ボリュームゾーンである)中間層の声」を聴くことが重要になる。上位層と下位層の声は得てしてエキセントリックな内容になりがちで、会社選びの際などには注意が必要だ。

 大雑把にいうと、組織は上位層の2割を優遇し、中間層の6割に標準的な対応をし、下位層の2割を冷遇する。

 更に言うと、主として上位層2割が企画・戦略系の仕事をし、中間層の6割が基幹業務を担い、下位層2割は雑用をするか、社内失業となるのだ。

 いずれにせよ、組織で働くからには、なるべく上位層の「優遇される人材」に入りたい。せめてボリュームゾーンの中間層だ。

 下位層にいると、常に雇用のことを心配しなければならないし、そのような精神状態では、なかなかいい仕事はできないからだ。

山田宏哉記

【関連記事】
"鶏口牛後"は本当か (2012.6.9)
「成長機会」の格差論 (2012.6.8)
自滅する労働貧困層 (2012.6.7)
あの人が嫌われる理由 (2012.6.4)
新参者の心得 -いかに組織に適応するか-
(2012.6.3)
知識と実務のあいだ -学校秀才は"仕事で使えない"か-
(2012.6.2)
「結果が全て」の世界で生きる (2012.5.29)
ノマドが嫌う日本企業(2012.5.27)
なぜ、あの人は長時間残業をするのか(2012.5.26)
最近の若者はバカばかり(2012.5.26)
いかに"集中力"を発揮するか(2012.5.23)
辺境からの企画論(2012.5.20)
高橋俊介(著)『21世紀のキャリア論』覚書(2012.5.20)
競争優位としての"集中力"(2012.5.19)
ビジネスパーソンがヨガをするべき理由(2012.5.14)
岩盤浴の秘密 ―なぜ、女性に人気なのか―(2012.5.13)
ヤンキー文化圏の幸福な人生(2012.5.11)
学習能力向上の戦略(2012.5.1)
性的リソースの分配論(2012.5.1)
交通事故の本質と大手自動車メーカーの広告費(2012.4.30)
組織を動かす人になる(2012.4.23)
"才能の優劣"を考える(2012.4.15)
ビジネスに活かす「サル山の論理」(2012.4.7)
"自動改札機の導入"で消える仕事を考える(2012.3.3)
"人間関係のシャッフル"を考える(2012.2.22)
時を告げる人、時計を作る人(2012.2.18)
「異性のパートナー選び」に活かすマーケティング(2012.2.12)
実務家からみた"学校教育の本質"(2012.1.3)
プレイボーイはビジネスの強者か?(2012.1.1)
「上から目線」のあなたと私(2011.12.31)
「カネのため働く」という建前(2011.12.25)
"就活イベント"のビジネスモデル(2011.12.18)



2012.6.9 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ