ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3158)

 教職に逃げる大人たち  

 大学時代、塾講師や家庭教師のアルバイトは、定番のひとつだった。但し、僕はこのような学生に対して、かなりの違和感を抱いていた。

 目の前に広大な世界が広がっている。しかし、自らは広い世界に足を踏み出さない。そして、後ろから歩いてくる人に対して、偉そうに能書きを垂れる。

 大学では、教職科目の単位を取っている学生もかなりいた。その中には、卒業後は学校教師をする人も含まれていたことだろう。

 ふと、思う。彼らは、高校時代で成長が止まっているのではないか。高校までで覚えた知識を使い回すことでカネを稼ぎ、未知の分野への挑戦をしていない。

 学校教師の仕事は、民間企業の営業職や技術職と比べると、成果へのプレッシャーが低いと思う。労働条件は恵まれているし、雇用も安定している。

 羨ましい限りだ。教科書の内容をノートにまとめ、それを黒板に書き写していれば、ひとまず解雇はされないだろう。

 「授業の準備は大変だ」という主張もあるだろうが、それでも、電力、交通、生産管理、金融などといった産業の基幹システムを扱うプレッシャーとは、比べるべくもないと思う。しかも、教える内容は、かつて自分たちが生徒として習ってきた事柄だ。

 常に思うのだが、就職活動や組織で働いた経験のない人が学校教師をやって、子供たちに何を伝えるのだろうか。「実社会は厳しいぞ」とでも能書きを垂れるのだろうか。

 @riekonekonekoさんに伺った話から、公立の小中高校で直接生徒に教えているのは「平均以下の能力の教師」だとわかった。「福祉は"左遷ポジション"」と言われるが、教育でも似たようなことが言える。官にとって、国民と直接接するのは、"左遷ポジション"のようだ。

 学校教師が生徒から尊敬されない根本的な理由は、生徒たちは教師の「逃げの姿勢」を見抜いているからだと思う。だからこそ、「あの教師は、民間企業で通用する人材か」という点はシビアに判断した方がいい。

 自分自身は、負荷の高い「実社会で働く」という選択から逃げたくせに、年下相手に偉そうな能書きを垂れる。安定志向で教職を選んだにもかかわらず、「最近の若者にはチャレンジ精神が足りない」だとと説教する。

 こんな輩、生徒からも軽蔑されて当然だろう。

 山田宏哉記

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2012.6.21 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ