ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3160)

日本人の7割には、中学の教科書レベルの知識もない 

 橘玲(著)『大震災の後で人生について語るということ』(講談社)を読んだ。

 本筋とはやや話がずれるが、本書の中の「知識層は人口の10%」との記述は、案外、的を射ていると思う。編集者の声として「経済書やビジネス書を読む層は約400万人」との声が紹介されている。日経新聞の発行部数も約300万部だ。

 リアルな話をすると、高等学校の授業を理解できる日本人は人口の約3割しかいない。大学進学率は約5割だが、周知の通り「自分の名前が書ければ合格」の大学はいくらでもある。

 更に読書をする人が人口の1割と考えると、7割の日本人は中学レベル以下の知識しか持っていないことになる。補足すると、勉強せずに年数を経れば、色々とものを忘れるものだ。

 要するに、大半の日本人は、社会や経済、ビジネスに関する基本的な知識を持っていない。 これは、生活実感とも一致する。

 真に驚くべきことは、日本企業で働くためには、実は「中学レベルの知識」があれば、充分だったということだ。少なくとも、これまでは。

 おそらく、大半の日本人はテレビを見ながら、「あぅあぅあぅ」と寝言を垂れるような毎日を送っている。そして、それでも通用するような仕事しかしていない。

 むろん、研究開発職などでは大学院レベル以上の知識が求められるはずだが、確かに知的には四則演算ができれば充分で、後は気合や根性だけで通用する職種も多い。アルバイト情報誌などを眺めていると、学校での勉強は不要に思えてくる。

 MBA(経営学修士)を取るような人が見落としがちなことは、日本の労働者の大半は「中学の教科書レベルの知識もない」ということだ。

 彼らの中には「インテリへの僻み」を持つ人も意外といて「高学歴な奴らは理屈ばかりで、仕事では使い物にならない」が口癖になっている。

 中学レベルの知識もない人が多数派の職場では、仲間として溶け込むために、あえて「バカな振り」をしなければならないこともある。

 知的水準が異なる人とのコミュニケーションは、脳への負荷が大きい。エリートコースを歩んできた純粋培養のインテリは、このような反知性主義に耐えられないことが多い。

 しかし、インテリが仕事で成果を出すためには、これは避けて通れない道だ。中学の教科書レベルの知識もない人に対しては、当然ながら「中学生にもわかる言葉」で語らなければならない。肝になるのは、言語表現能力だ。

 尚、きっとこれからも、中学レベルの知識があれば、仕事を回せる職種が大半のままだろう。そして、大半の日本人は、そのような職種に就くことになる。

 但し一点、大きく変わることがあると思う。

 従来は、中学レベルの知識でできる仕事でも、それなりの報酬を得ることができた。しかし、これからはそのような職種は低賃金で固定され、場合によって機械にリプレイスされて、失職するという点だ。

 山田宏哉記

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2012.6.23 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ