ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3167)

 東京・江戸川区の清掃工場探訪記

 先日(2012年6月30日)、江戸川区の清掃工場を見学した。結論から言うと、内部の光景は圧巻だった。僕はこれまで、清掃工場で何が行われているか、全く知らなかった。

【写真】江戸川区の清掃工場外観

 清掃工場は24時間稼働している。江戸川区の清掃工場の場合、職員が30人で外部委託している要員が約40名。運転系のオペレーションは民間企業に委託している。夜間の運用人員は6名。

 工場は大きいが殆どの工程が機械で自動化されており、人員は想像以上に少なかった。機械の監視や保守点検をするのが人間の役割だ。

 ゴミ収集車が回収したゴミは、清掃工場に運ばれ、プラットフォームと呼ばれる場所から、ごみバンカ(ごみの貯蔵庫)にぶちまけられる。ごみバンカには、約4000トンのごみが貯められていた。

 江戸川区の清掃工場でのゴミの焼却量は1日約600トン。焼却炉は2つあり、1時間に数回、ごみクレーンがごみバンカからゴミを掴んで、焼却炉に放り込む。幸いなことに、今日はこの瞬間を目撃することができた。

 焼却炉の内部の様子は監視カメラを通してリアルタイムで確認できるようになっていた。ゴミは灰と化し、容量は20分の1になる。勢いよくゴミが燃えていて、何となく、火葬場を想起するような光景だった。

 燃やされたゴミは灰となり、灰バンカと呼ばれる場所に貯蔵される。ここからクレーンで灰がトラックに積み込まれ、灰は東京湾へと埋め立てられ、最終処分が完了となる。

 尚、ゴミは「たくさん燃やすほどいい」というわけでもない。ごみバンカのゴミが空になると、焼却炉の稼動を止めなければならなくなり、大きなコストがかかる。清掃工場にとっては、「継続的な稼動」が重要で、それを踏まえて燃やす量を調節する。

【写真】ごみクレーン

 ごみクレーンは、現役を終えた実物が、清掃工場の外に展示してあった。清掃工場内部のごみバンカでは、写真のようなクレーンが縦横無尽に動き回っている。

 清掃工場のような施設が近隣住民に配慮する様子は、見ていて痛いほどだった。公害対策は本当にキチンとしていることがわかった。また、工場の敷地内に公園を作り、市民に開放したり、近隣の公共浴場に熱を供給したりもしている。

 煙突の高さは、150メートルある。中には「本物の煙突」が2本と螺旋階段があり、職員は上まで歩いて上ることができるそうだ。

 あまり知られていない話として、清掃工場には発電機能もある。江戸川区の清掃工場の場合、自工場の稼働に必要な電気を全て賄った上で、売電によって年間約2億円の収入を得ている。この収益は、工場のメンテナンス等の費用として使われている。

 東京都の清掃工場は、定期的に一般向けの見学会を開催していて、誰でも見学をすることができる(事前申込制)。一度、足を運ぶことをオススメしたい。ゴミを見る眼が、少し変わることになると思う。

 最後に「ゴミを焼却した後の灰を東京湾に埋め立てて、環境への影響はないのか」と言えば、あるに決まっている。

 焼却温度を上げることでなるべく有害物質が外に拡散しないようにしているが、それでも環境の汚染は避けられない。それは僕たちが便利な生活を享受する以上、仕方のない代償である。

 山田宏哉記

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