ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3168)

 学生がアルバイトをすべきでない理由

 僕自身は、大学4年から3年半、毎月のアルバイトで10万円以上稼いで、生活費を自分で賄っていた。そして、こういう下積み経験は、確かに個人的には有益だった。

 しかし、キャリアとしては無価値だ。今思えば、カネを稼ぐために費やした時間を、学業のために投資すれば良かったと思う。

 学生時代にアルバイト経験を積むのは、社会人になってから役立つだろうか。

 職種や求められる責任の重さによって差はあるが、答えは基本的に「ノー」だと思う。

 「アルバイト経験は就職で役に立つ」と考えている学生は、企業がアルバイトで生計を立てるフリーターをどう評価しているか、直視した方がいい。

 基本的にアルバイトは、「(難しいことを考えず)言われたことを、言われた通りにやる」のが仕事の基本だ。これに対して社会人は「(難しいことを考え)やるべきことを、言われる前にやる」のが仕事の基本となる。

 下手にアルバイト経験が豊富だと、思考停止の指示待ち人間になってしまう。

 ビジネスの現場では、よく「指示待ち人間」が問題となるが、個人的にこれは「アルバイト経験の副作用」ではないかと思う。アルバイトに限定して言えば、「指示待ち」や「言われたことしかしない」は正しい仕事の進め方だ。

 学生はアルバイト経験を通じて、何を学ぶのか。「言われたことに疑問を差し挟まず、愚直にやる大切さ」とかだろうか。こんな「教訓」を得るくらいなら、アルバイトなんぞしない方がいい。

 むしろ、学生の頃は、研究室でディスカッションをする経験を積む方が、実はよほど役に立つと思う。

 たかだか時給¥1,000のアルバイトのために、一コマ¥5,000くらいする大学の講義を休むのは論外だ。

 とはいえ、学生であってもお金が必要になる局面はある。僕は学生であれば「日雇い労働で必要最小限のお金だけを稼ぐ」という選択は充分にありだと思う。

 何より、お金が必要な時だけ働けばいいので、学業優先の生活にしやすい。更に日雇い派遣関連の企業には「こういう社会人にはなりたくない」と感じる人間が多く、反面教師にもなる。

 学生時代は集中的に勉強するのが経済合理的で、必要以上にお金を稼ぐのは避けた方が良い。あまりに時間がもったいない。

 社会に出れば、嫌でも働くことはできる。勉強に専念できる機会が、いかに貴重だったかを知ることになる。ところが、当の当事者たちは、その恵まれた環境を自ら投げ捨てているのだ。

 山田宏哉記

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