ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3194)

 「実務能力の頭打ち」を突破する  

 非常に語弊がある言い方になるが、僕は自分の限界に近い能力を発揮しなくても、それなりの成果を出せるようになってしまった。

 結果を出している以上、仮に「これが僕の能力の限界です」と言っても、そのまま通用すると思う。

 社会人になった頃は、限界まで(病院送りになるまで)努力しても、全く成果を出せなかった。当時と比べれば、おそらく僕の実務能力は飛躍的に伸びている。

 数年前には限界まで努力してもできなかったことが、今ではあまり努力せずにできるようになった。限界まで努力しなくても、高い成果を出し、高い評価を得られる。

 それは基本的には望ましいことのはずだ。

 その一方、最近、僕は「自分の能力向上のスピードが鈍ってきているのではないか」と思うことが増えた。仕事の解法パターンを暗記し、前例を踏襲するだけで、一定の成果が出てしまう。

 しかし、これを繰り返すだけでは能力向上は期待できない。

 昔からブルーカラーの現場では、言葉は悪いが「仕事に飽きてしまう」という問題があったようだ。これは「仕事を覚えてしまう」ことで、新鮮味がなくなり、マンネリ化することで起きる。私見では、ホワイトカラーでも、この罠にハマる人は結構いる。

 これまた言葉が悪いが、企業が定期的に組織編成や人の配置を変えるのは、「飽き」を防止するという意味も大きいと思う。仕事内容は同じでも、仕事仲間が変われば、確かに新しい発見がある。

 「解法パターンの暗記」で仕事を処理すると、効率的で一定以上の成果を見込めるが、脳にはあまり負荷がかからない。これでは、能力がいずれ頭打ちになってしまう。

 ビジネスでは「自己評価より、他者からの評価が重要」と言われる。

 但し、実務能力が一定水準を超え、継続的に(あまり努力しなくても)他者からの期待を上回る成果を出せるようになると、むしろ自己評価の方が重要になる。

 実務能力の頭打ちを突破するためには、「解法パターンの暗記」では対処できず、徹底的に考え抜いたり、"閃き"なしには突破できないハードルを自分に課すのが有効だ。

 仮に親や教師の期待が「クラスで一番」であっても、あえてそのレベルに留まる理由はない。

 上を目指すなら、「学校で一番」「地区で一番」「県内で一番」とより高い次元での活躍を目指して、より難度の高い課題に挑戦し、より強いライバルに打ち勝っていくのが王道だろう。

 あえて結論めいたことを言えば、自分で自分に対して、より高いハードルを課すことで、限界を穿ち続けるしかない。

 山田宏哉記

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