ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3198)

 強者はデモに参加するか  

 僕はこれまで「デモ」や「大衆運動」の類にコミットしたことがない。

 殊更、「デモで主張される内容は間違っている」と考えているわけでもない。中には「もっともだ」と思えることもある。

 しかし、デモに参加して、誰かを弾劾するシュプレヒコールをあげることが、自分の仕事だとは思わない。

 デモが持つ暗黙の前提は、「か弱き民が、頭数を揃えて、強者に対して、何らかの要求をする」というものだ。だから、デモでは頭数(=参加者=動員数)がモノを言う。

 デモの参加者は「別に誰でもいい」のであり、動員数にカウントされれば、もはや用済みとなる。

 従って、デモの参加者は、「自分は無名の一般大衆であり、徒党を組むことで政治的な要求をする」という暗黙の前提を受け入れている(これを綺麗な言葉で言い換えると、「ひとりでできることは小さいけれど、みんなで団結すれば世の中を動かせる」となる)。

 デモの参加者は、対価を払わずに、一方的に自分たちの要求を通そうとする。いわば、「集団的な物乞い」だ。社会の中で一定の責任を果たし、報酬を得ている個人がするべき行為ではない、と僕は思う。

 単なる自己顕示欲からデモに参加する者もいるかもしれない。それは、ヤンキーやチンピラが轟音を立てて、バイクを乗り回すのと大差ないことだ。

 おそらく、デモの参加者には"責任感"がない。少なくとも、実社会で求められる水準の責任は負っていない。不満を喚き立てれば、「誰かが何とかしてくれる」と考えている。

 デモ(集団的な物乞い)の参加者は、基本的に「どこかに悪い奴」がいて、「不当な利益を貪っている」と考える。その精神構造そのものが「わがままな子供」の域を出ない。

 組織の内部であっても、一種の「デモ行為」をする人はいる。彼らは、常に問題を誰かのせいにし、不満と言い訳を繰り返す。責任感と当事者意識が欠落しているため、重要な仕事を任されることはない。

 実務家が問題解決に取り組んでいる最中に、「これは大問題だ!」と叫びながら行進する連中がいる。デモの参加者はそういう存在だ。

 結局のところ、街に出て、デモ(集団的な物乞い)をするのは、弱者と相場が決まっている。

 強者はデモに参加しない。自分を「無名の一般大衆」だとか、「頭数」だとは考えていない。強者は、あくまで自分が置かれた環境で、自分の仕事を通して、個人として戦うのだ。

 山田宏哉記

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2012.9.15 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ