ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3202)

 新堂冬樹(著)『成り上がり処世術』覚書 

 新堂冬樹(著)『新堂冬樹の成り上がり処世術』(宝島社)を読了した。

 『黒い太陽』で有名な作家(芸能プロダクションの経営者でもある)の実用書だ。裏金融の世界で生き抜いたノウハウ等が記されているが、非常に刺激的だった。

 特にインスパイアされた内容は、下記の5点だ。

1.新堂プロに所属タレントには「(芸能人に)サインをもらうのは禁止」の通達を出している。理由は「サインをください」と言った(思った)時点で、その人より完全に下になるから。テレビの内側にそういう人はいらない。実際、これが理由で何人もクビにした。

2.事務所のタレントで売れっ子になる人に共通しているのは、「口には出さなくても自分が一番だと思っている」こと。性格の良し悪しは関係ない。良くも悪くも"アク"がなければダメ。

3.優秀なキャスト(キャバクラ嬢)は、常に相手の好みや趣味などを考えて話す。特に重要なのが「客が何を自慢したいか」を見抜くこと。ここでお客さんの自尊心をくすぐるようなリアクションをするのがポイント。

4.仕事の基本は情報収集。特に業界全体の動向、商品の特徴、お金の流れ、弱点・課題、自分にとってのキーパーソン(上司、同僚、顧客等)の価値観、評価ポイント、趣味嗜好などを徹底的にリサーチすること。結局は「視野の広さ」で勝負が決まる。

5.良いライバルがいると、パフォーマンスが飛躍的に向上する。マネジャーの重要な役割のひとつは、「彼と彼を競わせたら、結果は何倍にも膨れるだろう」と見抜き、ポジションや役割を決めていくこと。

 洗脳や詐欺のテクニックなど、一部、表社会の倫理から外れた記述もあるが、通常のビジネスにもそのまま転用できる記述が大半だった。

 特に「情報収集」は重要なポイントだ。僕自身の経験に照らしても、結局はこの部分で勝負がつく。

 組織人は「直接、業務に関係あること」しか、しない場合が結構ある。

 業界のことはおろか、自社がどのようなビジネスモデルで稼ぎ、その裏でどのようなオペレーションが走っているか、よくわかっていない人もいる。

 「上司に『コピー取っておいて』と言われたので、コピーを取りました」みたいな指示待ちの姿勢で仕事をしていると、こうなってしまう。こういう人は、すぐに実務能力が頭打ちになり、先細りしていく。

 反面、継続的に、新聞や雑誌の記事、関連書籍等を読み込み、関係者への聞き取り調査(公式/非公式)などをしていると、それだけで「情報優位」を築けてしまう。

 情報を持つ者と、持たない者が勝負をしたら、情報を持つ側が格段に優位だ。"情報優位"を築いていれば、それだけ圧倒的な成果も出しやすくなる。

 いずれにせよ、"健全"とは言いがたい著書だが、スパイスとして読む分には、非常に有益だと思う。

 山田宏哉記

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2012.9.21 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ