ジョン・スミスへの手紙
サイバー・ラボ・ノート (3216)

 オリジナル辞書による競争優位

 キーボードを叩くのが速い人には「仕事ができる」イメージがある。

 確かに、効率的に仕事をする上で、文字入力のスピードは意外と無視できない。これは通常、「ブラインドタッチを習得する」ことが解決策と考えられている。

 但し、僕自身は別のアプローチを取っている。キーボードを叩くスピードはあまり重視せず、むしろ「辞書登録の活用」によりキーワードを叩く打数そのものを削減している。
僕のPCの辞書には数千語が登録してある。

 世の中には、自社の商品名や価格を間違えて記載するビジネスパーソンが結構いる。確認不足と言えばそれまでだが、ヒューマンエラーはどうしても起きる。

 例えば、住所や電話番号あるいは会社名や商品名と税抜き価格、税込み価格などは、辞書に登録して、一発変換できる環境を構築した方が作業時間を削減できる。

 日付を扱うことが多いなら、予めYYZZで20XX年Y月Z日(a曜日)に変換できるように設定しておくのも手だ。逐一、カレンダーを見ながら「Y月Z日はa曜日か」などと確認するのは手間がかかるし、「年」「月」「日」のために、入力モードを切り替えるのも無駄だ。

 いちいち電卓を叩いて税込み価格を計算したり、カレンダーや別の資料を見ながら手入力などをするのは、時間がかかる上に、ミスのもとになる。これでは、いくらキーボードを叩くスピードだけが速くても、他の部分のマイナスで相殺されてしまう。

 成果を出せない人が作る資料は、得てして商品名と価格(税抜き、税込み)の対応、日付と曜日の対応といった基本部分に誤りが多く、その部分を訂正するだけで労力の大半を使ってしまう。

 再発防止策も「細心の注意を払う」といった精神論に終始し、システム的な解決策には思いが及ばない。

 URLを表記する際は、「http://」から手入力するのでは、時間がかかる上にスペルミスのリスクがある。定番はコピー&ペーストだろう。但し、自社のウェブなどよく使うURLは、辞書登録しておいた方が速い。

 定型のメール文面も、辞書登録しておくとキーボードの打数を大幅に削減できる。

 例えば、XXでAさんのメールアドレスを表示した上、「Aさん XXの処理が完了しました。ご確認の上、ZZの対応をお願いします。以上」といったメッセージまで変換してしまう手もある。

 商品番号から商品名、税抜き価格、税込価格、商品紹介のURLなどの基本情報を一発変換できる環境を構築しておけば、手入力で打ち込んでいる人に圧倒的な差を付けることができる。

 僕自身はこの度、4桁の記事番号から、記事名とURLを一発変換できるようにした。我ながら、これはかなり良いアイディアだった。こういうことは、逐一、チマチマ調べながらやると、結構時間がかかってしまう。

 私見では「忙しくて、単語帳のメンテナンスをする時間がない」というのは本末転倒で、単語帳を活用しないから、時間がなくなるのだ。

 そういう人に限って、商品名と価格の対応、日付と曜日の対応などの基本を間違えて、謝罪と訂正に追われているのではないだろうか。

 もちろん、自社の商品名や価格、商品紹介のURLを正確に記すのは、「できて当たり前」であり、付加価値の高い仕事ではない。しかし同時に、絶対にミスをしてはいけない部分でもある。

 この類の作業は、極力手入力を避け、システム的に表記するのが鉄則だと僕は考えている。

 もっとも、オリジナルの辞書で作業効率を高めたからと言って、それがそのまま成果になるわけではない。

 それでも、付加価値の高い仕事の時間を確保するためには、定型部分を徹底的に効率化することが不可欠だと僕は思う。

 山田宏哉記

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